欧州、特に南欧の主要国に対する財政懸念が再び高まっている。そのことを表すように、欧州各国の10年債利回りが上昇してきている。一般的には、安定的な調達が厳しくなるのは『7−8%』と言われているが、ギリシャ、アイルランド、ポルトガルはこのレベルを超えてしまっている。スペイン、イタリアもこのまま利回りが上昇すれば、調達コストの上昇が更なる財政悪化を招く可能性がある。
欧州への懸念が強まっているのには、やはりギリシャが大きく関係している。特にギリシャ支援に対するEUとIMFの対立が心配材料だ。ユーロ圏非公式財務相会合(ユーログループ)のユンケル議長は26日、「IMFは来月ギリシャに救済融資を拠出しない可能性がある」と発言。また、「IMFが融資を実行しなければ、EUが肩代わりするとIMFは期待するだろうが、それは無理である。」と指摘している。対して、アトキンソンIMF報道官は、「保証がなければギリシャに融資はできない」と述べ、容易に融資するつもりはないとの意志を明らかにした。もし融資を受けられない場合、債務返済が不可能になる。そうなれば、金融市場をはじめとした欧州経済の混乱は必至である。
ギリシャを巡っては、「ギリシャの野党党首が、政府の新たな財政赤字削減措置を拒否する意向を示した」といった報道があり、更に、欧州の要人がギリシャに対してネガティブな発言を繰り返えしている。また、ギリシャ以外でも、S&Pがイタリアの格付け見通しを引き下げたり、スペインでは地方選挙で与党が大敗するなど、様々な形で欧州への不安が台頭している。
まずは、ギリシャが無事融資を受けられるかどうか?というところに目が向くが、この難題を突破しても欧州には更なる問題が山積している。欧州は、危険な橋を渡っている真っ最中ということを意識しておきたい。
欧州に対しての不安感からユーロ円は上値が重くなりそう。ドル円は当面アメリカの利上げがなさそうということで、上値が重い。ただ、積極的に円高ドル安に進むかというと、そうした材料にも乏しいため、鈍い動きとなりそうだ。