今週11日、中国国家統計局が4月の消費者物価指数を発表した。結果は前年同月比5.3%の上昇となり、目標値の4.0%を大きく上回った。中国の消費者物価指数は昨年10月から4%を上回り高止まりとなっている。このような状況を背景に、今週は預金準備率の引き上げを決定した。
金融引き締め策の継続的な実施に、中国株式市場は敏感に反応している。代表的な株式指数である上海総合株価指数は、一時、上昇傾向にあったが、4月からは一転して大きく下落してきている。
中国の景気拡大のスピードが鈍化してくれば、世界経済全体への影響も出てくる。実際、アメリカでは企業の景況感に変化が見られる。代表的な景況指数であるISM指数は、4月の製造業景況感指数が60.4、非製造業の景況感指数は52.8となり、共に前月を下回った。グラフを見ても、急速に低下していることがわかる。
米国関連の経済指標がここのところ冴えないことに加え、米国では、利上げをはじめとした出口戦略も遠のいている。また、ECBによる追加利上げの可能性も低下しており、さまざまなところで、停滞ムードが出てきた。当面、金融市場は揉み合い、或いは若干の調整局面に入っていくかもしれない。
中国の景気減速を背景に、各国株価にも調整圧力が働く可能性がある。株安になれば、投資家にリスク回避の姿勢が強まり、円高圧力となりそうだ。ドル円、ユーロ円ともに下サイドへの動きに注意したい。