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2011年4月23日放送

20日に発表された3月貿易統計速報では、3月貿易黒字は1965億円で、前年同月比78.9%減という大幅な減少となっている。輸出は前年比2.2%減の5兆8660億円で、16ヶ月ぶりのマイナス。輸入は前年比11.9%プラスの5兆6695億円となっている。東日本大震災や計画停電による影響で生産が停滞したことが、数値の上でも明らかになったといえる。

貿易収支の詳細を見てみると、輸出は、震災発生以前の3月上旬には前年同期比14.8%の増加と好調に推移していたが、震災発生後の3月中旬は5.9%の減少へと転じ、下旬は13.1%のマイナスにまで落ち込んでいる。震災の影響の深刻さが伺える。

特に自動車産業の輸出は、前年比27.8%減少の大幅な落ち込み。生産は、徐々に回復はしているものの、部品の供給不足という根本的な問題の解決にはなお時間がかかる見込みだ。また、夏場にかけては節電の要請も強くなり、首都圏の工場などでは生産を抑える必要もでてくるだろう。完全復帰までにはまだ数ヶ月はかかると考えられる。

一方の輸入のほうは前年比11.9%の5兆6695億円となった。こちらは上旬が前年比16.3%の増加、中旬が前年比11.5%の減少、下旬が前年比28.6%の増加となった。輸入が下旬に増加しているのは、復興のための資材輸入が増えたためと見られている。

現状ではまだ辛うじて貿易黒字を維持しているが、生産活動の回復が遅れているため、4月以降は赤字になるとの見通しも出てきている。仮に黒字を維持したとしても、当面の間、日本の外貨を獲得するパワーは減退するだろう。現在の為替相場は少し円高方向へ推移しているが、経常収支悪化を背景に円安に向かう可能性に注意したい。

日本は経常収支が悪化することが懸念されている他、政策金利も当面据え置くと見られる。現在は3月中旬からの上昇に対する調整で少し売られているが、再び円安に向かう可能性が高い。ドル円・ユーロ円共に、下値は限定的だろう。

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