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2011年3月19日放送

震災の影響を受けて、金融市場が大荒れとなっている。日本の危機となると=円安というイメージがあるが、実際にそのような反応が見られたのは一時的で、その後は円高が進んでいる。日本は海外に対して債権国の立場にあり、国内で経済的な危機が起きると、海外にある資産を円に戻すための円買いが起こりやすい、と言われている。

ただ、17日の朝方は急激な円高となり、76.25円まで下げ、円の史上最高値を更新する場面があった。これはドル円で75円から80円にかけて、大量のオプション関連などのトリガーがあったためで、売りが売りを呼ぶ状況が生まれたためである。加えて東京時間の朝という、商いが薄い時間であったことも、値動きを大きなものにしてしまった。ただ、17日の動きでトリガーがひと通り引いてしまったため、今後はこのような急激な動きが起こることは考えにくい。

また、18日には日米欧カナダのG7各国当局による臨時の電話会談が開かれ、円売り協調介入の実施について合意した。実際に午前9時から協調介入が行われ、1ドル=79円台前半から、短時間のうちに81円台前半まで、およそ2円ほど円安が進んだ。こうした協調介入は、2000年9月に日米欧カナダなどがユーロ安阻止を狙って実施して以来、10年半ぶり。もっとも、今回の介入の目的は『円高阻止』で、ここから更に円安方向に向かうような円売りは考えられない。各国の合意も得られないだろう。また、原発の問題やそれに伴う関東地方での停電など日本は非常に厳しい環境に置かれており、資金を日本に戻す(レパトリ)の動きが今後も起こりやすい。一時的に介入によって持ち上がっているドル円相場であるが、基本的には円高リスクが根強く残っていることを忘れてはならない。

震災の影響を受けて国内へ資金を戻す動き(レパトリ)が進みやすく、円高圧力がかかりやすい。ドル円・ユーロ円共に、基本的には下方向(円高)を見ておいたほうが良さそうだ。

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