アイルランドやポルトガルの国債利回りが、ユーロ導入来最高水準となっている。欧州の財政問題が再燃しているのである。先週、FOMCや中間選挙、米雇用統計といった一大イベントが一巡したことで、市場の関心は再び欧州へと向かっている。アイルランド国債は11日、一時9%台に乗せる場面があり、ギリシャ国債は先週末から11%台と高値圏を維持。ドイツ国債との利回りの差(スプレッド)が急速に広がっている。
10月下旬、アイルランド政府が、財政健全化に必要な歳出削減額を従来見通しの2倍に引き上げた。景気の低迷で税収が減っていることなどがその理由だったが、これが欧州の財政再建に対する疑念を高めるきっかけの一つとなった。また、ポルトガルでは、財政赤字削減策をめぐる政府と主要野党・社会民主党(PSD)の協議が決裂。こうした政治不安も、市場の欧州への不安感を煽ることとなった。
今後の注目材料としては、まず、欧州委員会によるアイルランドの財政再建策に対する評価があげられる。そして、12月2日のECBでは、出口戦略に対する見通しにも要注意だ。また、12月7日発表予定のアイルランドの来年度予算なども市場の関心を集めるだろう。また、ポルトガルの政治情勢も、欧州の財政再建に市場の注目が集まっている間は、注目される可能性がある。欧州問題が、再び市場をかき乱すことになるかもしれない。
欧州不安の高まりから、ユーロドルではユーロ安ドル高が進んでいる。結果、ユーロ円はユーロ売りで下落。ドル円はドル高で上昇という動きになっている。ただ、量的緩和は今後も続くため、ドル円が容易に上昇を続けるとは考えにくい。対してユーロ円は、もう少し下落が続くかもしれない。