今週の15日、政府・日銀は約6年半ぶりとなる円売りドル買い介入を実施した
ドル円相場は、介入前は1ドル=82円台後半での推移となっていたが、介入を実施直後に84円台まで上昇。その日のNY時間には85.78円まで円安が進んだ。翌16日には85.94円をつけている。16日は介入は行われていないようだが、介入警戒感が広がっていて、下値の堅い動きとなった。
今後は、介入が継続して行われるかが焦点になる。懸念の一つとなるのが海外の態度だ。介入後に、レビン米下院参入委員長が「日本の円売り介入は深刻なかく乱要因」と発言したり、ユンケル・ユーログループ議長が「日本の単独介入は為替市場の世界的な不均衡への対応という点で適切ではない」と述べるなど、日本の介入を批判している。
ただ、米財務省は正式なコメントを発していない。16日のガイトナー米財務長官の議会証言でも、今回の介入について特に触れなかった。米国は、今回の介入をある程度容認していると見られる。急激な円安を起こすような介入は看過できないであろうが、現在の水準を維持するための介入であれば、今後も継続できるのではないだろうか。
また、今回の介入の規模は2兆円程度との声が聞かれているが、円売り介入の原資となる政府短期証券(FB)の発行限度額は、今年度は6月末時点で残り35兆円程度となっている。資金面から見ても介入余地はあるといえそうだ。
加えて、日銀は介入で出回った資金を放置(非不胎化)することを決定。金融緩和の姿勢も見せ、政府・日銀が歩調を合わせていることを市場に示した。ただ、金融緩和はまだまだ不十分。円高を阻止するには、介入だけではなく、もう一歩進んだ金融緩和が求められる。
円売り・ドル買い介入を受けて先週は円安が進んだ。もう少し円安に向かう可能性は残るものの、急速に上値を伸ばす展開も想定しにくい。また、経済環境に大きな変化が起きたということでもないため、段々と上値が重くなりそうだ。
ユーロ円もドル円の動きに連動して上昇したが、このまま一方的な動きになると、安易に考えない方が良さそうだ。