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2010年7月31日放送

先週の23日、欧州金融機関91行に対するストレステストの結果が発表された。不合格とされたのは、ギリシャ、スペイン、ドイツの7行で、全体の資本不足額は35億ユーロとなった。査定基準が甘いとの見方もあるが、マーケットでは今回の結果を比較的好感しているようだ。

ただ、今月に入ってから、ユーロが、特に対ドルで上昇している。これは、ユーロが積極的に買われていると言うよりもポジション調整によるところが大きい。それを顕著に表しているのがIMMのポジション動向だ。ピーク時の5月11日には−113,890枚までユーロ売りポジションが溜まっていたが、直近の7月20日時点では、−24,251枚と急速にユーロ売りポジションが解消されている。今週もユーロが買われる動きが見られたが、ストレステストの結果を好感した積極的なユーロ買いではなく、あくまでユーロ売りポジションを解消する動きと考えておきたい。

 欧州国債の利回りは、落ち着いた動きを見せている。今回の欧州ストレステストを受けて、欧州金融機関への懸念はある程度後退したと考えられる。6月21日にECB政策委員会メンバー・フランス中銀のノワイエ総裁が「一部の銀行が資金調達難に直面している」と発言、6月23日には著名投資家ジョージ・ソロス氏が「現在の危機は財政危機というより銀行危機だといえる」との考えを示した。これらの発言などから、欧州財政から金融機関の健全性へ市場の関心が移っていたが、今回のストレステストの結果を受けて、再び欧州の財政問題に市場の目が戻ってくると考えられる。ただ、欧州、特に南欧の財政赤字の問題は以前と比べて大きな進展は見られない。欧州委員会は2010年、2011年の対名目GDP比の財政赤字見通しを立てているが、今後は本当に財政立て直しを行えるのかに市場の注目が集まるだろう。財政再建の目処が立たないとなると、再び失望感からユーロが売られるリスクが出てくる。また、ギリシャやスペインなど、複数の国が財政問題を抱える状況では、どこか一国でも財政再建が困難となれば、連鎖反応が起こる可能性もある。今後の欧州に関する話題は、『財政再建がどの程度うまく進んでいるのか?』という点を十分に注意して見ておく必要がある。

ドル円を積極的に売り込む材料が出てきたわけではないが、米景気減速懸念からドルの上値が重く、ドル円は金曜日に年初来安値を更新した。引き続き上値の重い展開が想定される。ドル相場になっている影響で、ユーロ円は方向感の定まらない展開が続きそうだ。

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