21日、バーナンキFRB議長は上院銀行委員会で金融政策について証言。市場では追加的な金融緩和について何か発言があるのではないかとの声も聞かれていたが、「FRBは必要に応じて一段の政策行動をとる用意がある」としたものの、具体策については触れなかった。また、この証言の中で「経済見通しは引き続き異例に不透明(unusually uncertain)」と述べたことから、金融市場では、先行きに不透明感が広がった。
これら証言を受けて、米国の長期金利が下落。今週に入って約1年3ヶ月ブリの低水準である2.88%をつけている。加えて注目すべきは株価動向。長期債の価格が下落しているにもかかわらず、株価の上値が重いままとなっている。これは、景気の先行き不透明感が嫌気され、リスク資産である株に資金が流れていかないことを示している。また、米金融機関の四半期決算が、冴えない内容になっていることも株式相場の重しとなっていと見られる。
米国は、株価上昇がもたらす資産効果によって消費が活発になりやすいという側面が強いため、株価が低迷すれば米経済の回復に一層時間がかかる可能性が出てくる。米国をはじめとした世界経済の先行きは今後も予断を許さない状況だ。
為替相場で、ドル安の動きは一服しているものの、ドルを積極的に買い進める材料は見当たらない。引き続き上値は重くなりそうだ。ただ、ドル円は年初来安値を更新するリスクがまだ残っている。ユーロ円は相場を動かす材料に乏しく、引き続き方向感の定まらない展開になりそうだ。