先月発表された米住宅指標は市場予想を下回る弱いものが続いていたが、今月に入ってから、その他の指標でも弱いものが次々と出てきている。6日に発表されたISM非製造業景況感指数が市場予想を下回ったのに続き、14日の小売売上高、15日のNY連銀製造業景況指数やフィラデルフィア連銀製造業景況指数(フィリー指数)と、軒並み市場予想を下回る結果となった。
加えて先日のFOMC議事要旨では、FRBが米成長率の見通しを下方修正。また、メンバーの大半が「今後の経済成長の方向が、ダウンサイドに転じたと見ている」としており、経済見通しがかなり悪化した場合は「追加の金融緩和を考える必要ある」との見解も示された。
この結果、米低金利政策の長期化観測が急速に高まり、ドルは売り圧力に晒された。ドル円は86.97円まで下落し、ユーロドルは1.2980ドルと5月10日以来のドル安水準をつけるなど、ドルが全面的に売り込まれる展開となっている。
加えて、ユーロに関するネガティブなニュースに市場が飽きてしまい、相場が反応しなくなってきた。そのため、ユーロドルではユーロの買い戻しが入っていて、ユーロドル相場のドル安要因になっている。
更にドル安のもう一つの背景としては、米オバマ大統領が打ち出している輸出倍増計画がある。米国サイドが、ドル安に懸念を示す可能性は今のところ少なく、ドル安相場はしばらく続きそうだ。
為替市場全体でドル安が進んでいることから、ドル円相場でもドルに下落リスクがかかってくる。年初来安値を更新していく展開もありえる。
一方、相場展開がドル中心になっている影響で、ユーロ円は方向感に乏しい。基本的にはもみあいだろう。