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2010年6月19日放送

米商務省が16日発表した5月の米住宅着工件数は、市場予想の64.8万戸を大幅に下回る59.3万戸(前月比10.0%減)。建設許可件数も62.5万戸の市場予想を下回る57.4万戸(前月比5.9%減)となった。グラフを見ると、緩やかな上昇を続けていた住宅指標が再び失速しているように見えるが、これは、4月末で住宅購入減税が廃止された影響と考えられる。また15日発表されたNAHB住宅市場指数は、好況不況の境目である50を大きく下回る17。市場予想の21を下回った。

その他、住宅市場の減速は、住宅関連支出の減少を招いている。例えば、小売売上高は前月比1.2%減と8ヶ月ぶりのマイナスとなった。また、住宅減税が4月末で終了したことに加えて、減税や公共事業などによる米景気支援策の縮小は今年後半から本格化する。米バーナンキFRB議長も9日のベージュブックで、財政出動による下支えが縮小することに言及している。また、米雇用統計は、今月4日に発表された非農業部門雇用者数が+43.1万人の大幅増を記録してものの、その内の41.1万人が国勢調査に伴なう臨時雇用に過ぎない。こうしたことから米国経済は2010年後半に失速すると見るアナリストも多い。

その一方で好材料もある。ISM指数は製造業・非製造業共に50を上回り高値圏で推移し、住宅着工件数、建設許可件数と同日発表された設備稼働率、鉱工業生産指数は市場予想をしっかりと上回る好結果を見せた。ネガティブな材料ばかりが出てきているわけではない。また、その他の国に目を向けてみても、6月には入って、カナダ、NZ、ブラジルなどが金利の引き上げを行っている。これは景気がしっかりしてきていることの裏返しである。世界経済の回復が相互作用し、米経済の景気回復を助ける面もある。

米経済はこのまま回復を続けることが出来るのか、景気後退に再び陥ってしまうのかという瀬戸際に立たされている。引き続き市場動向に注視する必要がありそうだ。

ユーロは少し買い戻しが進んでいる。ただ、欧州の財政問題は解決には程遠く、本格的に上昇していくことはかなり難しいだろう。ドル円は引き続き、ユーロに市場の関心が向っているため、方向感が出にくく、もみあう展開が続きそうだ。

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