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2010年5月8日放送

4月末頃から、欧州市場に再び暗雲が立ち込めている。S&Pがギリシャとポルトガル、スペインなどの格付けを引き下げたことが嫌気されており、株価の下落が止まらない。こうした中、5月2日には、EUとIMFが共同でギリシャに対する総額1100億ユーロの支援を行うことで合意。3日には、ECBが、ギリシャ国債に関して適格担保の最低条件を一時停止するなどの対策を採ってきた。

しかし、ギリシャ国内では、赤字削減のための緊縮財政法案に反対するゼネストが行われ、死者までが出る事態となった。ギリシャ問題の終焉は、まだまだ当分先の話となりそうだ。

表は、欧州各国の株価の年初来の騰落率(1月4日を0としたもの)だが、これまでなんとかプラスを維持していたドイツがついにマイナスに転じた。また、財政問題が持ち上がっているギリシャ・ポルトガル・スペインの3カ国の株価は4月末頃から軒並み下落し、その下げ幅は、20%を超えてきている。

特に今回、格付けが引き下げられたことで、欧州の機関投資家が欧州の債券を売る動きが見られ、ユーロは大きく下げることになった。また、ECBが適格担保の最低条件を一時停止したことも、ギリシャ債券の担保としての信用低下につながり、ユーロの売りに歯止めが効かなくなっている。IMMのポジションなどをみると、ユーロ売りポジションがかなり溜まっているようではあるが、今後も格付の引き下げが行われれば、更なる売りを誘う可能性もある。ユーロ、欧州株共にどこまで下げるか非常に不透明な状態となっている。

今後もギリシャと欧州の動き、特に格付けの動向には十分注意しておく必要があるだろう。

6日には、米ダウが急落したことで円高が大きく進む動きが見られた。ただ、マクロ経済の状態は悪くなく、ドル円は売り買いの材料が交錯し方向感に乏しい展開となりそうだ。また、ユーロではギリシャ問題が意識され、引き続き上値が重くなりそうだ。

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