21日、米金融大手6社の2010年1−3月期決算が出そろった。結果は3四半期ぶりに6社全てが黒字。シティグループは前年同期比と比べて180%となり、サブプライムローン問題が起きた2007年4−6月期以来の高水準。ゴールドマン・サックスも前年同期比で91%増と5四半期連続の黒字を確保し、米国の景気が少しずつ回復してきていることを、印象づける結果となった。もっともこれまで同様に、投資部門、いわゆるトレーディング収益が業績改善に大きく寄与しており、手放しでは喜べない内容ではある。
ただ、これまでとことなるのは、従来はトレーディング収益だけが目立っていたが、今回の決算では貸し倒れ引当金を前期よりも引き下げるなど「信用の悪化は峠を越えた」と思わせる動きが見て取れることだ。また、企業業績が好調なことを受けて、企業融資への期待も高まっている。加えて、シティグループ以外の5社は、既に公的資金を完済。シティも本年中に政府保有株の市場での売却が完了し、国による支援から脱却する見通しとなっている。
今回の好決算を反映するように、株式市場もしっかりした動きが続く。16日には米証券取引委員会によるゴールドマン・サックスの訴訟問題を受けてダウは下落する場面もあったが、翌営業日には持ち直し、底堅い動きを見せている。
個人向け融資が厳しいことや、住宅市場の回復が遅れていること、GSの訴訟など、まだ問題は残るが、米金融機関には薄明かりが指していると言えるだろう。またこれにあわせて米国株、米国経済も安定した動きが続きそうだ。
ギリシャの国債利回りが急上昇するなど、ギリシャ問題が再びクローズアップされている。ギリシャの2009年財政赤字が当初見込みの12.6%よりも悪いという話も出てきた。ユーロ円は上値が重いだろう。ドル円は材料不足でもみあいが続きそうだ。