中国国家統計局が15日発表した1-3月期の実質GDPは前年同期比で11.9%と、市場予想の11.7%を上回った。しかも2009年10−12月期の10.7%よりも拡大し、2四半期連続の2桁成長となっている。そして、これは、中国政府が掲げる目標「8%程度」の成長率をも上回っている。
ただ、以前からの懸念材料となっている不動産販売価格は高騰が続いている。中国国家統計局が14日発表した3月の主要70都市の不動産販売価格は、前年同月比で11.7%の上昇を記録。2月の10.7%を上回った。また、今回の数値は、現在の調査方法となってから過去最大の上昇率で、相場過熱への警戒感が高まっている。
現在の不動産価格上昇は、人民元相場を固定するために中国が元売り・ドル買い介入を行っていることも一因となっている。元売り・ドル買い介入によって、ドルの外貨準備が増え、市中には元が大量に供給され、これが不動産価格を押し上げて、バブルに近い状況を生んでいる。量的緩和に似た状況ともいえる。
不動産価格上昇を抑えるために、1月、2月と預金準備率の引き上げなどを行ってきたが、これだけ上昇してしまっては、中国はもう一歩踏み込んだ対策をとらざるを得ない。不動産価格上昇の元凶になっている元売り介入の停止、すなわち人民元の切り上げを行う必要が出てくるだろう。中国当局が、人民元切り上げの決断に踏み切る局面が近いうちにあるかもしれない。
ギリシャ問題が意識され、ユーロが急落する場面があった。引き続きギリシャの財政問題が燻り、ユーロ円の上値は重いと見る。ドル円は、株価が安定していることで大きく崩れる展開は想定しにくいが、積極的に買い進める材料にも乏しく、もみ合い相場になりそうだ。