今週15日、ユーロ圏16カ国による財務省会合が開催。財政危機に直面しているギリシャの資金繰り難に備えた支援策で合意した。16日には欧州連合(EU、加盟27カ国)による財務相理事会で、この支援策をEU全体で了承した。
ギリシャは4−5月に約200億ユーロ(約2兆5000億円)の国債償還期限を迎えるため、これを乗り切れるかが市場の不安材料になっている。今回の支援策はこの不安に答える形。ただ、ギリシャの財政再建の見通しが明るくなったわけではない。18日に米ダウ・ジョーンズ社がギリシャ政府の話として「ギリシャ政府がIMFに金融支援を要請する可能性がある」と報道。その後、ギリシャの要人がこの可能性を否定したが、このような噂が実しやかにささやかれるということは、依然としてギリシャ問題の本質的な部分は何も解決していないことを、市場参加者が感じ取っていることの表れであろう。
しかし、経済環境が厳しいのはギリシャだけではない。英国の財政赤字のGDP比は2009−2010年に12.7%に到達し、ギリシャとほぼ変わらない高水準となっている。これを受け、EU財務相理事会は17日、英国に追加的の財政再建策を要請。2014−2015年までに、財政赤字をGDP比で3%以内に抑えるよう求めている。ヨーロッパの問題というと、真っ先にギリシャが取り上げられることが多いが、英国も苦しい状況にある。
また今週発表されたユーロ圏の経済指標を見ると、ZEW景況感調査や建設支出などが、予想された数値と前回の結果を共に下回る悪い内容だった。
こうして見ると、厳しい状況にあるのはギリシャだけではなく、欧州全体が様々な問題で困難に直面していることがわかる。そのせいか、ここ2週間ほど買い戻されていたユーロやポンドが、再び値を下げそうな気配となっている。
米国では雇用の改善、豪州では継続的な金利の引き上げなど明るい話題も少しずつ散見されるようにはなっているが、ヨーロッパに関しては厳しい状況がまだ続いてしまいそうだ。
ユーロは厳しい環境にあるため、上値が重い状態が続きそうだ。ドル円は、株が堅調な動きとなっているため、大きく崩れることはなさそう。しかし、強い買い材料が出てきたわけではないことから、もみあいに入りそうだ。