中国では今月5日から14日まで、日本の国会にあたる「全国人民代表大会」(通称:全人代)が北京の人民大会堂で開催されている。予算案を見てみると、歳出は前年度に比べ約11.4%増の8兆4530億元で過去最大。歳入は7.3%増の7兆4030億元になる見通し。そして、積極財政の後押しによりGDP成長率の目標は、昨年同様「8%程度」とされている。また、この積極財政ともに適切な金融緩和を継続する方針で、今年も中国は力強い成長が期待される。中国経済が世界経済を牽引する構造が今年も継続するだろう。
一方で、懸念材料は依然として残っている。不動産価格の上昇である。1月、2月と預金準備率の引き上げを行い、銀行融資の増加ペースを抑えるなどの対策を採っていたが、それでも不動産価格の上昇が止まらない。先日発表された、中国不動産価格は主要70都市で前年同月比10.7%増となり9ヶ月連続のプラスを記録した。こうしたことから、「当面の間は、預金準備率を月に1度のペースで引き上げ、金融引き締めを行うだろう」、との見方がされている。
ただ、金融引き締めには景気を減速させるマイナス面もあるため、積極的な金融引き締めにはなかなか着手できない。金融を過度に引き締めずに経済成長を促し、かつ不動産価格の上昇も適切な範囲に押さえるという、非常に難しい金融政策の運営が中国には求められる。
現在の中国はしっかりした成長が続いているが、健全な動きが続くか、今後も注意深く見守る必要があるだろう。
株価が堅調に推移しているため、ドル/円やユーロ/円も底堅い動き。ただ、欧米共に本格的な回復には程遠く、ここから大きく上昇して良く展開は想定しにくい。あまり方向感のない動きになってしまいそうだ。