今週11日に発表されたオーストラリアの雇用統計は、失業率が5.3%、新規雇用者数が5.27万人となった。市場予想は失業率が5.6%、新規雇用者数が1.5万人であったため、共に予想より強い数字。しかも、雇用者数の増加は5ヶ月連続で、失業率は11ヶ月ぶりの低水準と、オーストラリアの雇用や経済が力強く回復していることを示している。
RBA=オーストラリア準備銀行は、今月2日の政策金利の決定会合で「豪経済は力強く回復している」との見通しを示したが、「これまでの利上げの効果を見極めたい」として政策金利を据え置いた。しかし同時に、経済が堅調に回復した場合には、再び利上げを行う可能性も示していた。11日の豪雇用統計の結果を受けて、金融市場では利上げ期待が高まっている。
またオーストラリアは、中国との貿易が盛んであり、中国経済が失速するとその影響を大きく受けるため、中国の金融引き締めを懸念してRBAは金利を据え置いたのではないか、との声も一部では聞かれていた。
しかし、雇用統計と同日発表された中国の消費者物価指数1月分は1.5%増となり、12月分の1.9%、市場予想の2.1%を揃って下回る結果に。「インフレ圧力がそれほど高まっておらず、中国の金融引き締め観測も後退した」との見方が広がった。不動産価格の上昇が続いていることからなお不安感は残るが、中国経済の腰折れリスクが後退したことで、豪経済も堅調な状態が続くと考えられる。豪ドルも上昇する公算が高い。
ユーロ売りが目立っているが、新規失業保険申請件数など雇用指標が弱いこともあり、米国株も軟調な展開。その影響もあってドル/円で円高が進んだ。ユーロ/円とあわせて、ドル/円も円高に向かうリスクに気をつけたい。