欧州、特に南ヨーロッパ各国の5年物国債CDSスプレッドが急速に拡大している。国債CDSのスプレッド拡大は、国債のデフォルトリスクが高まっていることを示す。拡大が顕著なのは、ギリシャやスペイン、ポルトガルなど。
※CDSとは、クレジット・デフォルト・スワップの略称で、投資先の破綻による損失に備えるための保険のこと。CDSスプレッドとは、いわばCDSという保険の保証料(=料率)で、スプレッドの上昇は、投資先が破綻する危険性が高いと判断されていることを示している。
その中でも、特に市場の関心が高いのはギリシャだ。昨年12月、格付け会社が相次いで格下げを実施したことは記憶に新しい。
ギリシャは2009年の財政赤字がGDP比約13%になったことが明らかになった。しかし、ユーロの通貨統合の際に定められたマーストリヒト条約では、財政赤字はGDP3%以内に抑えることが一つの基準になっている。そこで欧州委員会は3日、2012年までに財政赤字をGDP比3%以内に抑える財政再建策をまとめた。
しかし、引き続き景気の低迷が続きそうな環境の下で、財政赤字を大幅に削減していくことは非常に困難だといえる。その点からも、ユーロ圏への不安はぬぐいきれず、CDSスプレッドが拡大する事態となっている。また、2010年の財政赤字がGDP比9.8%に達するとの見通しを示したスペインや、財政赤字への懸念から格付け見通しを引き下げられたポルトガルについても信用不安が広がっていて、CDSスプレッドが拡大している。
これら南ヨーロッパへの信用不安でCDSスプレッドは拡大し、ユーロは信用不安に直面することになっている。結果としてユーロが急速に売られる展開へ。ユーロドルは昨年5月以来となる1.36ドル台、ユーロ円は昨年2月以来となる121円前半まで下落した。その上、ユーロへの不安は全く払拭されていないことを考えると、ユーロ売りがまだ続く可能性がある。ユーロ円は120円を割りこむ展開も想定しておきたい。
ユーロ売りが目立っているが、新規失業保険申請件数など雇用指標が弱いこともあり、米国株も軟調な展開。その影響もありドル・円で円高が進んだ。ユーロ・円とあわせて、ドル・円も円高に向かうリスクに気をつけたい。