27日の外国為替市場では円買いが大幅に進み、ドル円は84.82円をつけた。実に1995年7月以来の水準。これを受けて、藤井財務大臣は「今の動きは異常であり、適切な対応をとることおもありえる」などと為替介入を匂わす発言もしている。
もっとも、この動きはポジティブな要因で円が買われているわけではない。まず、日本政府は先週20日に2006年6月以来となる「デフレ宣言」を行なった。このような環境下では普通、中央銀行は金利を下げて物価の下落を抑えようとする。しかし、すでに日本の金利は事実上引下げられないほど低下しており、金利面からの円安圧力が極めてかかりにくい状態にある。
また、25日発表された貿易収支は輸出が前年比23.2%減と大幅に縮小してたが、同時に輸入はそれ以上の減少幅の35.6%となり、結果として貿易収支は8071億円増加となっている。9ヶ月連続で黒字を確保し、前回の9月の5206億円増を上回る増加幅になった。貿易黒字は通貨高圧力を生み出すため、結果的に日本の円高を促している。日本という国は、不況やデフレの環境下で円高が進みやすい構造を持っており、このような状況が長引けば国内の輸出産業をはじめ、多くの企業は業績回復が遅れることになる。政府、日銀は共に早急に対策を打っていく必要がある。
記録的な円高水準となっているが、まだ下げ止まる気配はなく、一段の円高も経過しておきたい。また為替相場全体で円高が進んでいるため、ドル円のみならず、ユーロ円も下げるリスクがあるため要注意。