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2009年7月18日放送

14日から米大手金融機関の決算発表が行われた。13日には月曜日には著名アナリストのホイットニー氏がゴールドマン・サックスの投資判断を「中立」から「買い」に引き上げるといった報道も流れ、好決算になるのではと期待が市場で膨らんだ。

実際に発表された決算でも、ゴールドマン・サックスは、純利益が前年同期比で65%増、JPモルガン・チャースは35.8%増と、軒並み市場予想を上回る好結果。また、バンク・オブ・アメリカも予想より強く、シティグループに関しては、市場予想の0.332ドルの損失に反して黒字となった。

これらの決算を受けて、米ダウ平均株価は大きく値を伸ばした。16日木曜日には8700ドル台に乗せ、6月につけた高値に迫っている。ただ、注意したいのは、その決算の内訳。GSやJPモルガンはトレーディング業務といった投資銀行部門が増益を牽引している。またJPモルガンは、クレジットカード事業は焦げ付きが拡大し、不良債権が2.8倍に急増するなど、明るいニュースばかりではない。

どこも銀行しての本業が回復しているわけではなく、米経済復活によって今回の決算結果が増益になったとはいえない状況だ。加えて今回の株高は、7月始めに発表された雇用統計の悪化を受け株価が下落した分を取り戻したもの、といった側面もあり、更に上値を目指していくのは難しいと考えている。米国経済の先行きはまだ楽観視できない。

米ダウが堅調に推移したことで、クロス円も値を伸ばしてきた。しかし、米ダウがここから更に積極的に上値を追っていくとは言いがたく、そうなればクロス円の上昇も限られてくる。またクロス円も雇用統計などを受けて値を下げていた分、反発していたが、反発が一服してしまえば、また上値が重くなってくると考えられる。

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