先週も紹介したが、再度確認しておきたい。今月2日、米雇用統計=非農業部門雇用者数の6月分が発表され、市場予想の−36.5万人を10万人以上下回る−46.7万人となった。これを受けて株式市場で、ダウが200ドル以上の下落。またクロス円でも、米雇用統計が悪化し株価が大きく下げたことから、リスクを回避する動きが活発化。円高が進むことになった。
最近の米経済指標は、急速に回復しているとは言えないものの、例えば、今週月曜日に発表されたISM非製造業景況指数では、前回の44から46になるなど、ある程度改善の兆しが見えているものも多かった。雇用者数も二ヶ月連続で減少幅が小さくなり、期待感が高まっていただけに、2日の雇用統計のショックは大きく、その影響は長引いた。米ダウは上値が重い展開が続き、為替相場ではクロス円が雇用発表後から値を下げる展開。水曜日には売りが売りを呼び、クロス円は全面安。ドル円は2月17日以来の安値、91.80円をつけている。
また、株、為替以外の市場にも動きが見られる。今回の雇用統計で市場に広がっていた楽観論がはがされ、リスクマネーが市場から逃げ出している。それが顕著に出ているのが原油先物市場である。原油価格は高値圏をキープし6月末には昨年10月21日以来の高値、73.38ドルをつける場面もあった。しかし、米経済への不安が徐々に高まるにつれ、ここまで溜まっていたポジションを解消する動きも起こり、6月30日から6日続落。10日には、60ドルを割り込み、ピークから18%以上も下落している。
株式相場、為替相場、商品相場が揃って値を下げており、いつまた値が崩れだすかわからない状況。少し不安定な環境であり、乱高下する展開になるかもしれない。更に来週は金融機関の決算も控えており、この内容によってはドル円は90円に迫る展開も想定される。