節目になっていた3%の壁を突破して以来、米長期金利は一方的に上昇を続けてきた。この金利上昇は、需給と利上げ観測という二つの側面から考えることができる。需給面では、先行きの景気に楽観論が広がったことで、債券市場から株式市場へ資金が流れたこと。また、同じく景気への楽観論を背景に、FRBが利上げを行なうのではないかとの利上げ観測が市場に広がった。では、どの程度まで利上げ期待が高まったのか。市場関係者を対象にしたアンケートでは、「9月のFOMCでの0.25%の利上げを織り込んだ」とする回答が6月半ばには40%程度にまで達していた。
ただ、過度の楽観論がはげてきたことで、利上げ期待は低下。23−24日開催されたFOMCでも、政策金利については特に触れられず、市場では2010年末まで政策金利は変更されないとの声も聞かれた。金利は徐々に正常な水準に戻りつつあり、先のアンケート調査でも、利上げの織り込む市場関係者の割合は20%を割り込むところまで下げている。
こうした状況を株式市場も好感している。3月安値から株価は大分上昇していたために、調整の売りが出ているものの、比較的高値圏で安定した動きを見せている。
先週に続き、ドル円、ユーロ円共に上値が抑えれている。上値が重くなっているために、どちらかといえば円高方向に推移しそうだが、債券相場をはじめ、金融市場は大分安定している。為替相場も突発的なニュースが出てこない限り、急激な動きは起きにくいだろう。