17日の月例経済報告で、与謝野財務・金融・経済財政担当相は、景気の基調判断を「景気は、厳しい状況にあるものの、一部に持ち直しの動きが見られる」とし、2ヶ月連続で基調判断を上方修正した。加えて7ヶ月ぶりに「悪化」の文字を削除している。また、与謝野大臣は「1−3月が底だった。輸出、生産などが上向きを始めたので底を打ったと強く推定できる」と発言。景気底打ちを宣言している。
もっとも、景気が底入れしてきた背景には、中国向けの輸出が堅調であることや、政府の経済対策が功を奏している面も大きく、これらが息切れしてくると、再び底を付けにいくリスクが残る。また日本の雇用情勢を見ると、有効求人倍率は0.46倍と過去最低を記録。失業率も5%台に達するなど、雇用面はまだまだ厳しい。一部では「秋以降に二番底に向かう懸念も残っている。」とも言われており、予断を許さない状況が続いている。
株式相場がやや軟調に推移している。株の上値が重い環境ではドル円やユーロ円の上値も抑えられ、円高に推移しやすい。もっとも現在の株価下落は、3月の安値水準から続く上昇に対しての調整と見られているため、急落するリスクは少ない。為替相場での円高も急激なものにはならないだろう。