今週は、アメリカにおいて米国で金融安定化法案の成立をめぐって目まぐるしい展開があった。先月29日 金融安定化法案が下院で否決されるという予期せぬ事態が発生し、金融市場が大混乱に陥った。
その後1日には法案の修正案が上院で審議され、無事可決。週末の3日には下院でも可決した。しかし、可決後も不良債権の買い取り価格の決定など問題は山積している。
米国の金融危機が欧州に飛び火してきた。ベルギーの大手銀行 フォルティスがベネルクス3国から計112億ユーロの出資を受けることが決定。また、仏・ベルギー系の大手金融機関デクシアも日本円で9800億円の公的援助を受けることが明らかになった。また、英国でも住宅金融大手ブラッド・アンド・ビングレーが一部国有化され、アイスランド政府も、グリトニルの国有化を発表した。
金融市場の混乱の影響で資金繰り倒産の危機に陥る金融機関が出てきており、それを国が救済する必要がでてきてしまった。各国で、市場と国家の戦いが本格してきた。
欧州に金融危機が波及してきたことで、ユーロが対ドル対円で急落している。ユーロ円は3日の東京市場で144円台に突入、2006年6月以来の安値を更新することとなった。また、トリシェECB総裁が2日の理事会で政策金利の引き下げを検討したことを明らかにしたことも、ユーロ下落を加速させることとなった。
欧州金融機関の経営危機を背景とした市場の混乱と、実態経済の減速、更には利下げ観測が重なり、ユーロには今後とも下落圧力がかかってくる公算が高い。
為替市場ではユーロの下落が鮮明となってきている。一方、ドル円相場は方向感を失っている。日本の金融機関が海外金融機関を買収、或いは出資するために円売りドル買いをするという需給面がドル円を下支えするとの観測がでていることもドル円の先行きを不透明にさせている。こうした傾向は来週も継続するだろう。
来週の予想レンジは、ドル円が103-107円、ユーロ円は142-147円程度と予想している。