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2008年9月27日放送

9月に入って、米国の金融危機が正念場を迎えている。7日に大手住宅金融公社ファニーメイとフレディマックに20兆円規模の公的資金を注入することを決定した以降も金融市場の混乱は収束せず、15日は米大手証券会社リーマン・ブラザーズが破産申請を行うことを発表した。同日、バンク・オブ・アメリカ(BOA)は大手証券会社メリル・リンチの買収を発表し、翌日には米政府とFRBは米保険最大手AIG救済のため、日本円で約9兆円にも及ぶ巨額の融資を実施すると発表した。

各金融機関への個別対応では事態が収束できないため、米政府は19日遂に金融機関の不良債権買取機構の創設を含む金融市場安定化対策を正式発表した。また、大手証券会社のうち、かろうじて生き残ったゴールドマン・サックスとモルガンスタンレーは銀行持ち株会社への以降を申請し承認された。アメリカ型の錬金術が崩壊したことを象徴する出来事が続いている。

政府が抜本的な対策に本格的に着手したことで、一旦は金融市場は落ち着いている。しかし、依然として状況は予断を許さない。不良債権の買取機構の設立に関して、課題は山積である。特に「買い取り価格をどういう基準で決定するか」ということが最大の問題となってくるだろう。

昨日発表された米新築住宅販売件数8月分は、年換算で46万戸と17年ぶりの低水準となっている。住宅市場の低迷により住宅価格の下落傾向も続いている。住宅価格の下落が続けば、不良債権の価値も低下していくことが予想される。こうした下落傾向の中での買い取り価格の決定は、非常に困難を極めるであろう。

米金融機関の弱体化が進む中、国内金融機関の積極展開が目につく。三菱UFJグループは米大手証券モルガン・スタンレーの株式を最大で20%程度取得することを発表。出資金額は9000億円に及ぶ可能性がある。また、野村證券は破綻したリーマン・ブラザーズのアジア・太平洋部門に続き、欧州・中東部門も買収することを明らかにした。三井住友グループもゴールドマン・サックスへの出資を一時検討するなど、国内金融機関は海外金融機関への出資、買収に積極的な姿勢を見せている。

国内金融機関は、今回のサブプライムローン問題に関しては欧米の金融機関に比べて軽傷であったため資金的余力が比較的ある。そのため、これを契機に海外でのプレゼンスを高めようという狙いがあると思われる。

金融安定化対策の発表により、金融市場は一旦は落ち着きを見せている。当面は、今後の展開を見極めたいというムードが広がり、為替市場も揉み合いに入っていく可能性が高い。ただし、米国経済の減速が再び鮮明となってきていることに加え、米財政赤字の拡大懸念が徐々に広がってきており、ドルの上値は重くなってくるであろう。

来週の予想レンジはドル円104−108円、ユーロ円は153−158円。

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