榊原・嶌のグローバルナビ


マーケット・ナビ

バックナンバー

2008年9月13日放送

欧州各国の景気減速が鮮明となってきている。今週、欧州委員会が発表した欧州の08年経済見通しでは、ユーロ圏全体の08年の成長率が1.3%と前回の1.7%から下方修正された。

各国の見通しを見ると、4-6月期に続き 7-9月期、10-12月期も景気は低迷するとの見方となっている。特にスペイン、イギリスなどはリセッション(景気後退)の定義である2期連続で前期比マイナスに陥ると見られている。

こうした欧州の景気に対する悲観的な見方を背景に、欧州通貨が対ドル、対円で急落する展開が続いている。

ユーロ円相場を見ると、今週は一時150円を割り込み、一時は147円台にまで下落する局面もあった。昨年8月、今年3月にサブプライムローン問題で市場が混乱した際にリスク縮小から円全面高になった局面よりも円高水準になってきている。ユーロは景気拡大と継続的な金融引き締めを材料にここ数年継続的に対ドル、対円で上昇してきた。マクロ環境の変化によりそのトレンドが反転してきているということだ。

欧州ばかりではなくオセアニア諸国でも景気減速が加速してきている。一掃の景気減速を懸念して、オーストラリア準備銀行は今月2日に政策金利を6年9ヶ月ぶりに引き下げた。またニュージーランド準備銀行も7月から金融緩和を開始、今月11日には一気に0.5%の引き下げを実施した。

予想外の大幅な利下げはそれだけ景気減速リスクが高まってきていることの証左であるとも言える。

ドル高と円高が同時進行しているために、ドル円は方向感のないレンジ相場に入り込んでいる。こうした傾向は当面続きそうである。米ドル以外の通貨に対しては、中期的には一層の円高リスクはあるものの、ここ1ヶ月ほど急速に円高が進行したために、ここからは次の材料がでるまで乱高下が続く可能性が高くなってきたように見える。蘭州は原油価格の動向にも注目しておきたい。

来週は予想レンジはドル円が105-109円、ユーロ円は147-153円としておく。

上に戻る▲