今週は、国内企業の4−6月の決算発表が相次いだ。全般的に予想より業績が悪くなった企業が多く見受けられた。特にサブプライムローン問題に端を発した世界的な金融市場の低迷と、インフレによる景気減速の影響を受けて、金融機関の業績悪化が目立つ。大手銀行も実質業務純益ベースでは、前年比で軒並みマイナスとなっている。また国内証券会社では20社中、5社が最終赤字、12社が減益となっている。
業績の低迷は金融機関ばかりではない。資源価格の高騰によるコスト増や消費の低迷による業績悪化に苦しむ企業も多い。また、マクロ環境も悪化している。今週発表された国内の雇用統計6月分では、失業率が4.1%にまで上昇。有効求人倍率も0.91倍にまで低下し、国内の雇用環境が更に悪化していることが明らかとなった。
足元の景気の悪化と企業業績の低迷を反映して、株価も冴えない。米国株式が低迷していることも日本株式市場にとっては逆風となっている。今後、米国経済の不振が継続するともに国内経済が一層減速する公算は高い。一部の株式専門家が、年後半にかけて株式市場が急回復するとの見通しを立てているが、現状の市場環境を考えると、こうした予測は楽観的といわざるを得ない。
米国経済の先行きは依然として混沌としており、ドル相場は方向感を失った状態にある。一方、世界経済全体が減速傾向に入ってきていることを各国の経済指標が示唆し始めており、対欧州通貨、オセアニア通貨などで、円高が進みやすい状況になってきた。当面、円が強含む展開が続く可能性も高まっている。予想レンジはドル円が106−109円、ユーロ円が164−169円と見る。