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2008年6月14日放送

アジアの株式市場の下落傾向が益々鮮明になってきている。中国の代表的な株式指数である上海総合指数は、今週2900を割り込み、2007年3月以来の2800台にまで下落している。昨年10月の高値から見ると50%以上の下落である。また、中国以上に落ち込みが目立つのが、一時期日本人投資家の間で第2の中国と人気の高かったベトナム株である。ベトナムの代表的なVN指数は昨年の高値か7割近いマイナスとなっている。

こうした株価の下落の背景には、世界的なインフレの進行がある。ベトナムでは直近の消費者物価指数が25%を超える記録的なインフレとなっていて、国民の不満がピークに達している。中国でも今週発表されたインフレ率が7.7%と高止まりしており、中央銀行である中国人民銀行は、今月、2度に渡って合わせて1%という預金準備率の引き上げを決定した。インフレの進行による国内消費の減速懸念が株価に重くのしかかっているということだろう。

こうした傾向は先進国においても同様である。新興国ほどではないものの、先進国においてもインフレの問題は深刻である。米国の要人がドル安に大して強い懸念を示していることも、欧州中央銀行(ECB)が来月の理事会での利上げを示唆していることも、インフレの進行に対して各国が神経質になっている証拠である。

アメリカの要人がドル安に懸念を表明してから、為替市場でのムードが大きく変化した。米国経済の減速を背景にドル売りポジションを造成していた投資家が、対ユーロ、対円でのドルの買い戻しを急いでいる。しかし、その一方でドル中心の相場展開となっているため、対ドル以外での円相場はもみ合いに入っている。来週もこうした傾向が継続する可能性は高いが、米国経済が不安的な中、ドルの上昇にも限界があるだろう。来週の予想レンジはドル円は105−109円。ユーロ円は164−168円。

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