今週発表された米国の経済指標は、予想ほど悪化していないということを示唆するものが多かった。そのため米国株式は堅調に推移し、為替市場でもドル相場は安定した動きをみせた。
また、ユーロ圏の経済に関しても、米国から時間差をおいて景気が減速するのではないかと懸念されていたが、今週発表されたユーロ圏08年1−3月期の実質GDP成長率は年率で2.2%を記録。07年10−12月期と同じ結果となり、第1四半期に関しては、景気減速は観測されなかった。しかし、米国経済の悪化が欧州経済に与える影響は半年から1年の時間差をおいて出てくるとの見方も多く、4−6月期は大きく落ち込む可能性もある。
また、国内景気も今のところは順調のようである。今週発表された08年1−3月期の国内実質GDP成長率は、年率で3.3%と予想の2.5%を大きく上回った。GDPの6割近くを占める個人消費は前期比0.8%の増加。これまで最大の押し下げ要因だった住宅投資も前期比4.6%増加となり5四半期ぶりにプラスに転じた。しかし、その一方で民間設備投資が3四半期ぶりのマイナスとなるなど、不安要因もある。
また、今後、資源価格などの上昇が内需を落ち込ませる可能性もあり、今回の結果で国内経済が堅調推移していると判断するのは早計だろう。
今週は、株式市場が堅調に推移していたことで、円相場も落ち着いた動きを見せている。ただ、105円台に入ると輸出企業からのドル売り円買いがでてくることなどもあり、一方的に円安に向かう地合いでもない。また、先行きに関して不透明な点があまりに多いため、投資家も新規投資に慎重になっている面もある。新規材料がない中、来週も方向感のないもみ合い相場が続きそうだ。
予想レンジはドル円が102−106円、ユーロ円は160−165円。