今週、金融市場が安定してきた背景には2つの要因がある。1つはサブプライムローン問題に関してFRBや米政府等から積極的な対応策がでてきていること。米大手証券会社ベアズターンズが経営危機に陥った際、FRBは米大手民間銀行に特別融資枠を設定し、その資金で買収させるという対応をとった。
そして、もう1つは、実質的な公的資金投入と見ることも出来る仕組みが、FRBと政府の間で約束されたのでは、という期待が広がったこと。ベアスターンズ救済で損失が生じた場合、その損失はニューヨーク連銀が負担し、その負担相当額について連銀から財務省への納付金を減額するということが約束されたのでは、と言うのである。
また、米大手証券会社リーマンブラザースの資本増強に申し込みが殺到。急遽、予定していた金額30億ドルを40億ドルに増額したことも好材料となった。
こうした一連の対応策等によって、信用市場も一旦底打ち感が出てきている。マーキット社の発表している資産担保証券の価格動向を示すABX指数を見ると、下落傾向から一旦反発してきていることが確認できる。ただ、依然として水準そのもの低く、予断は許さない状況にある。新たな問題が発生し、再び市場が混乱に陥る可能性は否定できない。
来週は週末に7カ国財務相中央銀行総裁会議(G7)が開催される。会議に先立って、各国の要人が発言する内容に市場が敏感に反応する可能性がある。ただ、G7で為替相場のことがメインテーマになることはあまり考えられない。翌週に米大手金融機関の決算が相次いで発表されるため、来週は基本的には様子見気分の強い1週間となると考えている。
予想レンジはドル円で99円-104円、ユーロ円で158円-163円。