住宅ローン市場の悪化が止まらない。今週、住宅金融協会が発表したところによると、昨年12月末における住宅ローンの延滞率は5.82%にまで上昇した。これは1985年にこの調査が開始されて以来、最高水準である。
ローンの延滞率の上昇は、金融機関の収益を圧迫する要因となる。今後、各金融機関はローン業務を縮小する動きにでると見られていて、それが住宅市場の一層の悪化を招くという悪循環に陥る可能性がある。
延滞率の上昇とともに担保物件の差し押さえも急増している。2007年12月の時点で、住宅ローン全体における担保差し押さえの比率は0.83%となっているが、これも過去最高水準である。
差し押さえの中身を見ると、変動型のサブプライムローンでの差し押さえが全体の42%と、最も多くなっているが、一般向けのプライムローンでも差し押さえが徐々に増えてきている。今後も、住まいを失う国民が米国内で増加していくであろう。
住宅市場の悪化とともに信用市場の悪化も止まらない状態にある。投資家が投資商品への投資を手控えているために、様々な債券などの価格が低下している。それに伴って、企業などの発行体が払うリスクプレミアムも増加している。
マーキット社のCDX北米投資適格指数のスプレッドも拡大傾向歯止めがかからず、資本市場の冷え込みが深刻な状態に陥っていることを示している。企業の資金調達に支障をきたしている状態は今後も続くだろう。
今週、米住宅大手ソーンバイク・モーゲージが債務の不履行を発表し、市場に動揺を与えた。米メリルリンチ社はサブプライイムローン部門ファーストフランクリンが融資業務を停止すると発表。また、米金融最大手のシティグループは、住宅ローン関連資産を450億ドル(約4兆6000億円)削減することを発表している。また一部メディアは、シティグループが3万人の人員削減を検討していると報じた。
サブプライムローンに関連した各企業は、非常に深刻な経営状態に直面している。また今週、バーナンキFRB議長は住宅ローンの元本減額を金融機関に求める異例の発言をしたが、この発言も事態の深刻さを物語っている。
米国経済の減速は益々鮮明になってきている。ドルはまだまだ下落する可能性が高い。金融市場も再び混迷状態に入ってきたため、金利差主体の円売りも出る環境にはなく、ドル円でも、ドル安円高の傾向が続くと考えておきたい。100円手前での当局によるドル買い介入を期待する声もあるが、米国との関係上現在は介入が困難である。
来週の予想レンジはドル円が100円-104円、ユーロ円は154円-159円。