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2007年10月27日 放送

先週、今週と米金融機関の07年7-9月期の決算が相次いだ。今回のサブプライムローン関連による市場の混乱で、決算にどの程度の影響が出たかに注目が集まったが、各金融機関とも大幅な損失を計上することとなった。特に、今週発表された米大手証券会社メリルリンチ社の損失額は9000億円近くにも達しており、市場関係者の中に激震が走った。

サブプライムローン問題の根本的な原因は米国住宅市場の低迷にある。今週発表された米中古住宅販売件数9月分は年率換算で504万戸となり、前月を8%下回る結果となった。この結果は1999年にこの統計が始まって以来、最低の水準となっている。

こうした住宅市場の低迷により、住宅価格は低下。サブプライムローン担保証券の価値も減価していくという悪循環に陥っている。こうした傾向は、今後更に続く可能性が高い。

米金融機関の損失額が想定していたよりも軒並み悪かったことで、サブプライムローン問題による影響の深刻さが改めて認識されることとなった。

金融市場の混乱を沈静化するために、FOMCは9月18日に政策金利の0.5%引き下げを実施したが、来週31日に開催されるFOMCでは、景気後退防止のために追加利下げを実施する必要性がでてきた。今回0.25%の利下げは確実視されているが、市場関係者の中では0.5%の利下げを予想するものも増えてきた。

こうした利下げ期待の高まりによって、市中金利も低下してきている。10年物国債利回りの推移を見ると、先週から急速に金利が低下していることが確認できる。金利の低下を好感して株式市場は比較的堅調に推移している一方、為替市場では、ドル金利低下によるドル安傾向が鮮明になっている。特に対円以外の通貨でのドル安が顕著となっている。

米国金利低下を背景としたドル安圧力がかかるため、ドル円でもドルの上値は限定的になってくる。しかし、昨日発表された国内消費者物価指数では前年同月比マイナスの状態が続いており、日銀の早期利上げ期待が遠のき、円安圧力も残っている。

ドル円ではドルの上値が重いため若干ドル安円高方向に傾くかもしれないが、その他の通貨に対しては、円安傾向が継続する展開となる公算が高いと見ている。

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