榊原・嶌のグローバルナビ


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2007年9月29日 放送

米国の住宅市場の低迷が鮮明になってきた。今週発表された米新築住宅販売件数8月分は年率換算で79万5000戸となり、前月の86万7000戸から減少した。また、同時に発表された住宅平均価格も前年比マイナス8%となり、販売状況、価格動向いずれを見ても住宅市場の低迷がはっきりと現れている。また、中古住宅販売件数も新築同様減少傾向にある。

今後、住宅市場の低迷が米国経済の減速をもたらす可能性が更に高まっている。

米国経済の減速を背景に為替市場ではドル安の展開が続いている。米ドルの主要通貨に対する動向を示すドルインデックスの推移を見ると、サブプライムショックのときは、投資家がドル売りを手仕舞いしたことで、一時的にドル高になるという歪な動きもあったが、金融市場が落ち着くと米国経済の動向に注目が集まり、継続的なドル安傾向が続いている。

ただ、対円では、ドル安と円安の綱引きとなって揉み合いの展開。円の低金利を背景とした国内からの資金流出が円安傾向を誘引しているためだ。

ドル安の傾向は特に対ユーロで堅調である。今週、ユーロは対ドルで1.42近辺まで上昇し、史上最高値を更新している。米国経済の減速が鮮明になってきている一方で、ユーロ圏の景気動向は非常に堅調であり、そのためドルからユーロへと投資家の資金が移動している。

18日にはFOMCで0.5%の利下げが実施されたが、その一方でECBは、インフレ抑制のために、利上げを継続する姿勢を明らかにしている。米ドルとユーロの金利差が縮小してきていることもユーロの対ドルでの上昇要因となっており、この傾向はまだ続きそうな気配である。

米国経済の減速とドル安の中で、米国の株価は堅調に推移している。景気減速の中での株高という展開は過去にも例がないわけではないが、今回の株高は企業のグローバル化が背景にあるといわれている。多くの米国企業が多国籍化しており、売上高の半分以上を海外に依存している企業も沢山ある。中国、インドを初めとしてグローバルでは経済は非常に堅調である。

こうした恩恵を受けて、米国企業の業績も好調であることが株価を押し上げているという専門家の声は多い。また、FOMCの金利引き下げも企業にとっては借り入れコストの低下という面で追い風となってくるという期待もあるのであろう。

来週から10月となる。10月上旬から中旬にかけては、米国企業の7-9月の四半期決算が発表される。決算の動向によっては、米国株価が大きく変動する可能性もあり、その余波を受けて為替市場も一時的に混乱するかもしれない。しかし、来週は、主だった材料もないため、今週のドル安、円安傾向が続きそうだ。

ただし、今週の動きがかなり速かったこともあって、来週は比較的緩やかな動きに留まる公算が高いと見ている。

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