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2007年6月2日 放送

景気の下振れリスクが心配されていた米国経済であるが、ここに来て持ち直しの傾向が見え始めた。下振れリスクの最大の要因となりうると考えられていた米住宅市場の落ち込みが、ここに来て止まりつつあるとの見方が市場関係者の中に広がってきているからだ。新築の住宅販売件数を見ても、3月までは下落基調が止まらない状態であったが、4月は大幅な反転を見せている。また、木曜日に発表された米国07年第1四半期GDP改定値は前期比年率で+0.6%と低迷しているものの、第2四半期は再び2.5%近くまで回復すると予想されている。

こうした景況感の好転を受けて米国の金利も上昇を続けている。米国債10面物の利回りは今週木曜日の段階で4.9%近くという年初来最も高い水準にまで上昇してきている。今後5%程度まで上昇するというのが市場関係者の大方の見方となっているが、そこまで金利が上昇すれば昨年の7月以来の水準に戻ることになる。FRBは昨年8月に金利を引き上げをやめそれ以降金利を据置いているが、その後市場では何度となく利下げ期待が高まり、金利は低位推移をしていた。しかし、今回いよいよ据置き以前の水準にまで金利が上昇してきていることで市場が利下げ期待は殆ど消えてしまっていることがわかる。

株価のほうも好調である。ニューヨークダウ平均株価は今年に入って、連日史上最高値を更新し続けているが、その勢いは一向に衰える様子はない。先日、中国政府が株式市場の過熱を抑制するために、株式市場の印紙税を現行の0.1%から0.3%に引き上げたことが原因で中国株式が急落する展開があったが、米国株式には全く影響は及ばず、むしろ当日は100ドル以上の大幅な上昇を見せた。景気が上向き、金利が上昇する中で株価が上昇するという非常に健全な金融市場の動きとなっている。

景気回復による金利高に加えて、株価も安定していることで、為替市場でもドルが堅調に推移している。ドル円相場の推移を見ると、金利の上昇と歩調合せる形でゆっくりと上昇してきているのがわかる。米国経済の先行きに不安感がある中で、投資家も米ドル買いを控えていたが、ここに来て買い遅れていた輸入企業などからのドル買いが目立つようになってきた。

TS指数を見ると、市場関係者の多くが円安を予想している。日本の金利がジリジリと上昇しているものの、米国などの金利も同時に上昇しているために、金利差は一向に縮まらない。その結果、円金利の上昇が円高につながっていない。6月はボーナスシーズンで国内個人投資家らによる新規の外貨投資も予想される。当面、円安基調は続きそうだと考えておきたい。ドル円は122円台の半ばを超えてくると125円程度までは上昇していく可能性もでてきそうだ。

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