榊原・嶌のグローバルナビ


Big name

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第464回 2009年12月19日 放送

2007年に世界遺産に登録された石見銀山の町、島根県大田市大森町。ここに義手や義足といった義肢装具を手がけるメーカー、中村ブレイスがあります。「閉鎖された銀山に新たな鉱脈を作りたかった」そう話す中村俊郎社長は、京都やアメリカで修行を積み、1974年、26歳の時に故郷に戻って会社を興しました。飛躍のきっかけは1984年に発売したシリコン製の靴のインソール(中敷き)。これまで150万個を売るロングセラーとなり、中村ブレイスの基礎をつくりました。

そして1994年、世界から注目されるオンリーワン製品が生まれました。体の一部を手作りでリアルに再現するメディカルアートです。まるで本物の手と見間違えてしまうようなシリコン製の義手。血管やホクロ、体毛まで再現しています。最近では女性ユーザーの要望に応えマニキュアやネイルアートも出来るようになりました。乳ガン手術などで乳房をなくした女性から大きな反響を呼んでいるのが人工乳房です。軽量で弾力のある質感。そして専用の接着剤を使えば入浴も可能とのこと。中村社長は「ウチだけにしか創れない技術で乳房をなくした女性の喪失感を少しでも補うことができれば…」と、人工乳房への思いを語ります。

中村ブレイスのもう一つの特徴は平均年齢33歳という従業員の若さです。過疎化が進み、一時はゴーストタウン化していた大森町に若者が働ける場を創出。町も元気を取り戻しています。

創業35年を数える中村ブレイスではさらなる成長期の主力商品が今まさに完成しようとしています。義足の常識を変える、金属を使わない断端袋(義足と足をつなぐ厚手の靴下)です。この製品が実用化されれば、これまで高価なため義足を使えなかった途上国の人々にも元気を届けることができるというのです。「世界中に元気を届けたい」と語る中村社長。人に優しく地域に優しい会社、それが中村ブレイスです。

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