2009年2月、岩手県・遠野市で高齢者200人を対象に遠隔医療のモデル事業がスタートしました。このプロジェクトは東京の医師がテレビ電話を使って遠野市の高齢者に対し健康相談や栄養指導を行うもので、高齢者を支える未来型医療システムとして全国から注目を集めています。
その背景には医師不足という深刻な問題があります。この街は東京都と同じ面積を持ちながら人口は僅か3万人。しかも、3人に1人は65歳以上にも関らず市内の診療所はたったの11か所で、循環器や産婦人科、整形外科の専門医は一人もいません(2009年5月時点)。こうした医療過疎を解決するため、ITを駆使した遠隔医療モデルを構築するのがこのプロジェクトの目的です。そして、それは「社会の安全、安心を事業化する」という取り組みです。
この安全、安心をビジネスとして立ち上げ、社会貢献に繋げようという活動は「ソーシャル・イノベーション」と呼ばれ、医療分野に限らず様々なフィールドで活発になってきました。社会を変えていく原動力としての期待も集めています。