人口およそ8億人の先進国が、世界中の資源を独占していた時代は過ぎ去りました。中国やインドなどの後進国、人口大国の工業化が進み、さらなる資源需要が拡大したことによって、今、世界中で資源の争奪戦が活発化しています。
また、「化石燃料」から「バイオ燃料」へのシフトによって、食糧も「限りのある資源」となりつつあります。拡大する一方の食糧需要に対し、作物収穫面積は縮小傾向にあり、どんなに技術革新が起こっても、供給が追いつかなくなる可能性もあります。「安い食糧」は、市場から姿を消しました。
1970年代初頭、オイルショックを引き金に、資源価格は高騰しました。丸紅経済研究所 柴田明夫所長は、世界の枠組みの変化や食糧在庫率の低下など、70年代初頭の価格高騰と、現在の状況との類似点を指摘した上で、「今回の価格高騰は恒常的なものとなり、パラダイムシフトが起こる可能性がある」と言います。
こうした状況下、日本において、さらに問題を深刻化させている要因の一つとして、「およそ40%という食糧自給率の低さ」が挙げられます。輸入に頼らざるを得ないわが国は、大きなリスクを抱えているわけです。「日本は、勝ち組になれるのか?それとも負け組みに回ってしまうのか」… 実は、厳しい現実が、すでに起こりつつあります。世界のいろいろな市場で、日本企業が、アジアの後進国の企業に買い負けしてしまうケースが増えているのです。若者の農業・漁業離れの流れが止められないだけに、規制緩和などによる「農業の大規模化」も、日本が抱える大きな課題となります。
資源の争奪戦が激化する中、技術革新・イノベーションは非常に重要なものとなります。日本には、省エネ・環境保全技術などの武器があり、得意分野への経営資源の集中投入などで、この危機に挑むほかありません。