榊原・嶌のグローバルナビ


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第389回 2008年6月28日 放送

戦後、日本の経済発展とともに成長したセメント業界。1950年代には砂糖、肥料とともに、白い粉にちなんで「三白景気」と呼ばれ、好景気に沸きました。しかし、90年代のバブル崩壊後、国内需要は減少し続けています。そんな中、業界最大手の太平洋セメントは、セメント産業の新しい価値を作り出す動きを推進しています。

それは、地方自治体がその対策に頭を悩ましてきた「ゴミ処理問題」への対応です。太平洋セメントは世界初の「都市ゴミの資源化システム」を独自に開発しました。埼玉県日高市にある工場に導入した都市ごみ資源化技術「AKシステム」は、家庭ごみや事業系一般ごみを、専用のごみ資源化キルン(ダイジェスター)を使ってセメント原燃料に変えてしまいます。日高市では1日当たり60トンの都市ごみが発生しますが、それをそのまま工場に搬入した後、資源化キルンに投入。低速回転をする資源化キルンの中でゴミを攪拌し、発酵させます。3日後、有機物はほぼ完全に分解され、土のような物質に変化して、排出されてきます。この生まれ変わったゴミは「資源化物」と呼ばれ、セメント原料として使われるのです。

「日本全体で出る廃棄物4億5千万トンのうち、約3000万トンをセメント業界で受け入れています。処理が難しい焼却灰や下水汚泥なども処理することができ、資源の循環だけでなく、CO2排出量の削減にも繋がっています。他産業ではできない、セメント産業ならではの社会貢献です」と、鮫島会長は、その意義を強調します。

この他にも、廃タイヤや廃プラスチックなど産業廃棄物を引き取って、価格が高騰している石炭の代替燃料として使用。その結果、太平洋セメントの工場では、年間750万トン以上の都市ゴミや廃棄物を原料や燃料として使うことになり、資源循環社会の一翼を担う存在となっているのです。

「私たちのビジネスは原罪を背負っています。セメントの製造過程でCO2を放出し、 温暖化を促進しているからです。しかし、だからこそ排出量を減らせるかを積極的に 考えています 」


グローバルナビでは多くのトップの方々にお会いしました。そして私なりにトップになる資質を考えてみると、リーダーシップや判断力といったビジネス本によく書かれていそうなことももちろんありますが、それよりも・・

(1) 「運動などをして健康に気を使っている」
  (ゴルフに次いでウォーキングをおやりになっている方が多いですね)
(2) 「夫婦仲など私生活が安泰」
  (奥様の話題を堂々とされる方は意外と多いです)
(3) 「いい人である」

以上の3つがとても重要な気がしてなりません。その理由はというと、様々な荒波を乗り越える体力がある。私生活に心配がないから仕事に打ち込める。そして、厳しかったり計算高いところはあっても最終的にはいい人だから人はついてくる。なんて、勝手に分析しています。

今回のゲスト、太平洋セメントの鮫島章男会長もそんなお一人です。会長は週に2回、1時間ずつ、奥様とテニスをすることを日課にしていて、会社にも、その時間だけは取ってもらえるようお願いしているそうです。これで先ず「健康」「夫婦仲」の条件をクリア。そして大きな体で、今の原料高に対してかなり苦言を呈していらっしゃいましたが、暖かいオーラを発していらっしゃいました。

セメント業界はバブル崩壊後、大型再編が次々とありました。しかし、そうした動きは終わったわけではない、と鮫島会長は話されます。まだまだ奥様とテニス三昧というわけにはいきそうにありませんね。

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