榊原・嶌のグローバルナビ


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第383回 2008年5月17日 放送

衣料品や食品、家具、家電製品まで・・・様々な生活用品を揃える「無印良品」。シンプルでナチュラルな風合いが消費者に受け入られ、誕生から28年、変わらぬ人気を誇っています。その無印良品ブランドを手がけるのが良品計画です。

1980年に西友のプライベートブランドとして誕生し、1989年に良品計画として独立。発売当時40種類しかなかった商品は今や7500種類にまで増えていますが、その基本コンセプト「わけあって、安い」は不変です。例えば今、無印良品でヒットしている商品に「落ちワタふきん」というキッチン用品があります。

この「落ちワタふきん」は12枚で500円。この価格を実現した秘密は素材にあります。実は、糸を紡ぐ際に工場で出るくず綿を集めて小さめの布に作り変え、キッチン周りやテーブルを拭くのに最適なふきんとしたのです。また「無選別おこげおせんべい」は割れたせんべいも一緒にパッケージされています。成型品と割れた製品を選別するという製造段階での工程を省くことでコストダウンを図っているのです。

さらに現在、追求しているのが「なるほど」というコンセプトです。例えば、お茶や麦茶を入れる冷蔵庫用の冷水ポットという商品がありますが、このポットは、縦に収納出来るのはもちろんのこと、横に倒しても収納が可能なデザインとなっていて、使い勝手が一工夫されています。これが「なるほど」というコンセプト。消費者にとって使いやすいデザインとは何のかを追求した結果、なるほど!と納得できる商品が出来上がったのです。

無印良品の人気は日本だけにとどまりません。海外では「MUJI」というブランドを掲げ、世界15カ国79店舗(5月現在)にまで拡大しています。年内にはトルコのイスタンブールへ出店、ロシアやドバイへの進出も検討中で、2010年度までに海外の店舗を倍近くにする計画。松井会長はいま、これまで出店してこなかった新市場の開拓を加速させようと考えています。「MUJI」というロゴマークは、ますます世界へと拡がろうとしています。

「無印良品の原点は日本の"禅"の思想。  そこまで遡ってモノづくりを行っている。  つまりモノの本質や機能にこだわっているのが、"わけあって、安い"ということ 」


「経営者は大変ですね」と、放送後お聞きしたら、「いやいや、数年間がむしゃらに頑張ればいいだけですから」と、お答えになった松井会長。しかし、松井氏が社長に就任した時の会社は業績がたいへん厳しい状態でした。当時は100円ショップやユニクロに押され苦戦していたのです。そして、倉庫には3年分もの衣料品の在庫が。そこで、まず衣料品、合計38億円分を全て焼却処分したそうです。並大抵な覚悟ではないことが分ります。この話だけでも、相当にがむしゃらに頑張られたことがわかります。

今では世界各地で店舗展開をしている無印良品。海外のインテリア雑誌には必ず「MUJI」(海外ではこう呼ぶそうです)の商品が載っています。日本では「安くても、おしゃれなもの」という印象ですが、海外では特に「おしゃれなもの」と位置づけされているようです。以前、パリの「MUJI」に入ったことがあるのですが、日本には売っていなかった浴衣もあって、かなりの客が入っていました。中国では手ごろな値段のお菓子に人気があるそうで、なかでも綿菓子は珍しくて人気だとか。スペインの料理店から「綿菓子200個」の注文が来たこともあるそうです。一体何に使うかは、松井会長も???でしたよ。

ちなみに、無印良品の「パンの耳スナック」は放送後にいただきました。サンドイッチ工場で捨ててあったパンの耳を再利用したということですが、大好評!!グルメな榊原さんも「これは美味しい」と召し上がっていました。 「MUJI」は、これからもドンドン世界へと攻めて行くということですが、日本人の美的センスが世界で通用するのがとても嬉しく、見守っていきたいと思います。

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