榊原・嶌のグローバルナビ


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第382回 2008年5月10日 放送

「The sound company」を掲げ、世界で「高品質・高級路線」を貫き通している「ヤマハ」。音楽事業への特化という「原点回帰」戦略を打ち出したことによって、元気を取り戻しています。

ヤマハの連結売上高は5488億円。そのうち、海外での売上高が約2721億円と、50%以上を占めています。特に、中国ではピアノの販売が年に3割も成長。海外戦略を大きく牽引しています。

ゲストの梅村充社長は、この春、視察のために韓国を訪問。「将来性のある市場」と評価しました。ピアノのシェア争いでは、地元のピアノメーカーに、遅れをとっている韓国市場ですが、ヤマハのような総合楽器メーカーは見当たりません。このため、ドラムやシンセサイザー、バイオリンなど、様々なヤマハの楽器が売り上げを伸ばしているのです。しかも、「安いものは売らない」という戦略を徹底。ヤマハ・ブランドは、「高級」というイメージが、すっかり市民の間に浸透しています。

また、キリスト教徒の多い韓国ならではの、「教会需要」も魅力のひとつ。ソウル市内には、メガ・チャーチと呼ばれる1万人以上もの収容能力のある教会が点在していて、週末には、礼拝が行われています。このメガ・チャーチでは、聖歌隊の合唱だけでなく、バンド演奏なども行われているため、ヤマハの楽器や音響機器の有望な売り込み先になっているのです。

「高級路線を貫きながら、その地域、地域にあわせたビジネスを展開する」… そんな、ヤマハの世界戦略を支えているのは、高いレベルの生産技術です。電子楽器の普及によって、「デジタル」な企業イメージが定着しつつありますが、工場を覗いてみると、多くの技術者と独自の「匠の技」によって、楽器は生み出されていることがわかります。まさに、楽器は、職人の手によって、仕上げられているのです。それは、楽器作り120年という、長い歴史によって培われてきた財産であり、その財産を活かせる事業に特化することで、ヤマハは、業績の回復を果たすことが出来たのです。

団塊の世代がリタイヤしたこともあり、「ゆとりのある時間を使って、もっと音楽を楽しみたい」という人が増えています。「大人の音楽教室」は、どこも大盛況。ヤマハは、こうした新たな需要を掘り起こし、「感動・ともに・創る」というスローガンの実現を目指しています。

「グローバルな競争が激化し、個人の趣味志向が多様化する中で、ヤマハの強みを活かすための戦略は、やはり音楽であるということに行き着いた」


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