榊原・嶌のグローバルナビ


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第380回 2008年4月26日 放送

夜空に輝く満天の星々。これはプラネタリウム「メガスターIIコスモス」が作り出した世界です。かつての一般的なプラネタリウムが映し出す恒星の数は2万個程度でしたが、メガスターIIは桁違いの500万個を実現。肉眼では見ることができない12.5等星をも映し出し、宇宙の奥行き感を再現しています。天の川も一つ一つの星で作られています。

そんな常識破りのメガスターをたった一人で作ったのが、今や世界から注目されるプラネタリウムクリエイター、大平貴之さんです。大平さんは小学生のころから好奇心旺盛で、高校、大学、社会人になってもプラネタリウムをひたすら作り続けてきました。時には隣人から、時には町工場から、時にはアルバイト先から援助を受けるなど、様々な出会いが大平さんの夢を支えてくれたといいます。

メガスターのもうひとつの特徴は持ち運びができるということです。それまでプラネタリウムは据え置き型が常識でしたが、メガスターIIの重さは50kg。「作業場所だった自宅二階の7畳間から運び出すために必要に迫られて移動可能にした」という事情があったとのことですが、小型軽量化を実現したことによってコンサート会場の演出や移動イベントの開催などプラネタリウムの新たな使い道を切り開いたのです。

宇宙飛行士の毛利衛さんに「宇宙で見た星空に一番近い」と言わせたメガスターの星空。そんなメガスターを「日本全国で見られるようにしたい」と大平さんは2005年に独立、大平技研を立ち上げました。そして今、新たな挑戦をスタートさせています。量産型メガスター計画、メガスターゼロです。メガスターゼロはバスケットボールとほぼ同じサイズで恒星数220万個を投影。価格は高級車一台分程度ということですが、今までプラネタリウムが置けなかった商業施設や学校、科学館などに販売していく方針だといいます。

最後に大平さんから開発中のメガスターIIIの情報も飛び出しました。「今までのプラネタリウムで絶対出来なかったようなことを表現したい」。大平さんが作り出す星空は、これからも益々輝きを増しそうです。

「モノづくりは技術開発であり表現活動でもある。その両面を持つプラネタリウムは面白いし、最高のモノを作っていきたい」


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