榊原・嶌のグローバルナビ


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第378回 2008年4月12日 放送

急激な円高、原材料費の高騰、更には、サブプライム問題に端を発する大きな景気のうねり。日本経済が困難に直面する今は、その屋台骨を支えてきた中小企業にも試練の時となっています。全国で342万社、全企業の99.7%を占める中小企業。従業員数でも2800万人、71%を占め、まさに地域経済の中核を担う存在です。それだけに、その活力をいかに高めていくかは、日本経済そのものの未来へと直結する問題です。

その中小企業をサポートするのが全国各地の商工会議所です。去年11月の就任以来、全国12の都市を視察、現場の生の声を聞いて歩いた岡村正会頭は中小企業がこれから生き抜いていく課題として「1.グローバル化 2.情報化 3.多様化への対応」の3つを挙げました。

番組では街全体が輝きを取り戻したプロジェクト「磨き屋シンジケート」を紹介しました。磨き屋シンジケートとは新潟県の燕商工会議所と地元企業がタッグを組んだ共同受注グループのこと。この10年余り、金属加工業界はコストの安いアジア各国との競争を強いられて、燕市の金属研磨業の売上高も100億円から40億円程度にまで減少しています。このままではアジアとは戦えない、そんな危機感から2003年に磨き屋シンジケートが立ち上がったのです。今では共同受注で実績が上げるだけでなく、匠の技の継承もシンジケートの活動として行われ、街全体の活性化にもつながっています。

岡村会頭は、中小企業と地域が元気を取り戻すキーワードとして「個が光るイノベーション」という言葉を掲げました。「原点は人。そして技術革新にとどまらず、経営の仕組みや社会の仕組みを変えることがイノベーション」とし、これを中小企業全体の旗印にしようというというものです。そして「今やひとりひとりが力を発揮して経営を変える、技術を生む時代になっている」「勇気をもって新しい挑戦をする気概を中小企業の経営者に持ってもらいたい」と熱い思いを語りました。

「世界への発信能力と生産性の向上。ここをしっかりやっていけば中小企業の未来は明るい」


かつて東芝の社長を務められ(現在は会長)、昨年11月に日本商工会議所の会頭に就任された岡村正さん。東芝の経営トップも大変ですが、商工会議所の会頭も日本の企業の99.7%を占める中小企業を支えていくという責任がとても重いポジションです。

円高の進行や原材料費の高騰など経営環境の悪化に直面する中小企業。戦後最長の景気拡大局面にあると言われていますが、そんなことを実感する間もないまま、再び景気の曲がり角を迎えてしまったようです。新しい時代に対応した経営戦略が必要ということですが、言うは易し、実行するのは大変なこと。でも、日本には凄くいいものが沢山あります。そして、日本の凄さは中小企業の強さが支えてきたものです。その強さをより強くするイノベーションがきっと必要なのでしょう。

さて、お話は変わり、ラガーマンだった岡村会頭。スリムなお体からは想像できませんでしたが、今でも当時の後遺症で首が痛いとか。今、ラグビーがとても強い東芝、応援にも行かれるそうです。そんなラガー精神で、日本の中小企業を大きなゴールへと導いていただきたいと思います。

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