急速な経済発展を遂げる一方で、「環境汚染」という深刻な問題を抱え込んでいる、中国。中央政府は、その対策に躍起となっています。
北京のように、「青空を見る事が稀」と言われる大気汚染の深刻さもさることながら、「水質汚染、水不足は、大気の問題より深刻」とジェトロの林康夫理事長が指摘しています。
実際、化学工場などの排水によって、近隣住民に健康被害が出ているケースもあります。中には、住民のがん発生率が異常に高く、「がんの村」と呼ばれる地域も増加しているのです。
こうした中、古くから日本との関係が深く、親日的な街である大連市が、「中国の中で、最も環境対策が進んでいる」と注目されています。
大連市も、かつては、市内に建設された発電所や工場などの排煙や排水による、「公害問題」に頭を痛めていました。ところが、日本の北九州市の協力を得たことで、事態は一変。「奇跡」と言っても過言ではないほど、空にも川にも、そして海にも、かつての美しさを取り戻すことに成功したのです。
北九州市は、高度成長期に、現在の中国と同じような公害問題に直面しましたが、長い時間をかけ、高度な環境対策技術によって克服することに成功。その貴重な経験とノウハウを、人材の交流などを通し、友好都市である大連市に惜しむことなく提供したのです。
また大連市は、日本の環境対策技術を民間レベルで取り入れることにも熱心です。工場などの排煙、排水などに、ほかの中国の都市よりも厳しい規制をかけています。日本企業にとって、それがビジネスチャンスとなっています。「環境対策技術が売れる」時代へと突入しているのです。
ジェトロの林理事長も、「これからのジェトロの役割は、自治体対自治体の関係から、ビジネス対ビジネスの関係に広げていきたい」と、こうした流れを加速させるため、全力でサポートする意欲を示しています。
さらに、そんな大連でさえ、人口増加による生活排水やゴミ問題といった新しい「環境問題」に直面しています。日本の環境技術の活躍の場、そして、そこにある市場の拡大は、まだまだ続くと予測されます。
北京市が目指す『藍空』が中国にありました。大連の空です!やる気になれば人は何でも出来るのではないか、と思ってしまいましたが、この大連は中国では環境先進都市。日本の環境技術も随分と役に立っているそうです。しかし、そんな大連でも、経済発展のスピードがあまりにも速いため、ゴミ処理や水質浄化への対応が追いつかなくなってきているとのこと。林理事長も「今の中国の問題としては、空気以上に水が深刻になるだろう」と話されていますが、工場排水などによる水質汚染は中国各地で問題化しているのだそうです。
私自身、母親になったからか、今まで以上に環境問題が気になるようになりましたが、水の問題は生活に関わるだけでなく、健康被害にもつながるだけに、とても考えさせられました。