榊原・嶌のグローバルナビ


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第364回 2008年1月5日 放送

いまひとつ方向性がハッキリしない福田内閣の経済政策。経済同友会の桜井代表幹事は、「ばら撒き的な印象が拭えず、もっとしっかり頑張って欲しかった」と、去年の暮れに発表された予算を分析し、注文をつけました。

経済界が政治に対して最も強く望んでいたこととは、ズバリ、財政再建でした。特に、年金問題になどに関して徹底した構造改革を望んでいただけに、経済政策の思わぬ「後退」ぶりに、歯がゆい思いを抱かずにはいられなかったようです。

一方で、世界は、「環境問題」という大きな難題を抱えています。「このままでは、人類存亡の危機」(桜井代表幹事)という極めて深刻なところまで事態は追い込まれています。

2008年は非常に重要な時期です。「洞爺湖サミットで、どこまで日本はイニシアティブを発揮できるのか?」 世界が注目する、そんな1年なのです。日本の環境対策技術は世界で最も優れています。にもかかわらず、COP13では、「アメリカや中国の目を気にしながら、および腰の態度を取っている」と酷評されました。そうしたイメージを払拭するために、なんとしても、洞爺湖サミットは成功させることが必要です。

桜井代表幹事は、自らが会長を務めるリコーの「環境対策」を例に、「地球の環境保全は、みんなが参加して、みんながやるものだ」と話してくれました。「環境対策はコストがかかるもの」という既成概念も、実は、やりかた次第。リコーの場合、160億円の実績に対し、経済効果の総額は300億円に手の届くところまで来ているのです。桜井代表幹事のアドバイスは「楽しみながら、やりなさい」。

そして、そうした難題を克服しながら、日本の企業経営者は、「新日本流経営」を目指すべきと、桜井代表幹事は語ります。「新」と名付けられているものの、それは、日本流の経営を否定するものではありません。「長期的視点」や「現場力」といった日本の強みを捨てるのではなく、「コンセプト作り」や「強力なリーダーシップ」といった欧米の強みをいかに取り入れていくかが、これからの経営に求められていくことになると言うのです。

日本経済を取り巻く環境は、アメリカ発のサブプライムローン問題に始まり、不安定な為替相場、歯止めのかからない株価の下落… と、決して楽観視出来るものではありません。波乱含みのスタートとなった2008年。政治の舵取りだけでなく、経済界にも、大きな変革が求められています。

キーワードは、「強さからの出発」。日本は、もっと自信を持つべきである


新年最初のグローバルナビのゲストは、とても魅力的な“低音”の持ち主でした。経済同友会代表幹事の桜井さん。本番中、嶌さんの話しに「うんうん」とうなずく声が、私の隣に座っている嶌さんの声よりも響いてしまうくらい良い声でした。しかも、体ががっちりしていて、少し強面。進行台本にはメモ書きがびっしり。「これは曲者か?」と思いきや、とても気さくな方でした。

そんな桜井さんですが、去年はベストドレッサー賞を受賞!ご本人は「何故選ばれたのか全く分からない」そうですが、表彰式には、環境問題を訴える意味も込めて緑色のネクタイで出席されたそうです。

そんな桜井さんは、アメリカのサブプライムローン問題について「全く理解できない」と話されます。リコーの会長でもある桜井さんは「メーカーは部品一つをとってもどこに使われているのかをキチンと把握しているのに、サブプライムローンはどこになにがあるのか分からなくなっている。メーカーである私から見ると全く理解できない」とのこと。

そして、そのサブプライム問題が大きな影を落としている2008年のキーワードを伺うと「強さからの出発」との言葉をいただきました。弱い所からスタートしようとすれば目標が低くなる。そうではなく、高い所からスタートするという前向きな姿勢が必要ということのようです。

ちなみに榊原さんは「乱」、嶌さんは「クールジャパンで稼げ」。ということは、今年は日本の持つ強さを生かし、激しい時代を前向きな姿勢で頑張らなければならない年ということでしょうか。大変だ!

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