昨今の景気回復を受け、新卒の就職戦線は空前の超売り手市場と呼ばれています。求人倍率は2倍を越え、バブル期並みの水準。今や学生が企業を選ぶ時代です。
そんな売り手市場において企業と学生を結びつける架け橋となっているのが、就職情報サイトを運営する毎日コミュニケーションズ。今時の就職活動は就職情報サイトへ登録することから始まるといっても過言ではありません。資料請求や説明会の予約、書類審査までサイトを通じて行うのです。更に、ネットだけではなく、全国各地で合同説明会を開催。12月に東京ビッグサイトで開催された就職EXPOには、2日間で9万人の学生が集まりました。
就職氷河期と呼ばれたのはほんの4、5年前。この急激な変化に中川社長も驚きを隠せません。しかし「いくら売り手市場といえ、全員が就職内定をもらえるという時代ではない」と話します。と言うのも、かつては採用予定数を集めることに奔走していた企業も、今では新卒で無理なら中途採用で埋める、という考え方に変わってきているからです。超売り手市場とは言われるものの、企業側が、採用基準を緩めてまで学生を確保しようとしている、とまでは言えません。内定を複数獲得する学生と全くもらえない学生という二極化現象も起きていて、やはり就職戦線には“厳しさ”が残っているようです。
一方、新卒採用だけでなく、転職市場も活性化しています。06年の転職者数は、過去最高の346万人を記録。さらに新卒者の3人に1人は入社3年で退職するというデータもあり、働き手の意識の変化が見て取れます。また、20代後半から30代前半のいわゆる就職難世代は、企業に於いても人材が枯渇していて採用意欲が高いのです。そうした状況の中、毎日コミュニケーションズでは人材紹介会社を設立し、拡大する転職ビジネスに力を入れています。中川社長は「自分が希望した企業に就職できなかった世代に転職という形でチャンスを与えたい」と強調。人材の流動化と採用の多様化の中に毎日コミュニケーションズは新たなビジネスチャンスを見出しています。
今時の就職活動は、私の頃と比べるとだいぶ変わってしまいました。インターネットで会社や業界のことを調べたり、説明会や面接の申し込みをしたり、といったことはまだ分かります。一番驚いたのが、会社と学生の立場が逆転しているということ。学生は「幾つか受かって、その中から選ぶ」という上から目線なのに対して、会社側は「学生さんに話しを聞いていただいて…」とまるでお客さま扱いです。少子化で若者が減ってきているのは分かりますが、これでいいのでしょうか?
しかし、変わらないこともあります。まず、リクルートスーツは相変わらずダークスーツの上下に、白いシャツ。一人だけ目立つ格好を避けるところは、超売り手市場といってもやっぱり…というところでしょうか。変に目立ってしまうと「自己顕示欲が強い」と思われて、それがプラスになるときとマイナスになるときと、それぞれあるそうです。(ちなみに榊原さんは学生の時、ピンクのシャツにノーネクタイで大蔵省の面接を受けたそうです。相当目立っていたでしょうね)
そして、もう一つ変わっていないモノ、それは人気企業ランキング。氷河期といわれていた5年前と就職バブルの15年前と比べても、上位にランキングされている企業名は今と大きな変化がありません。特に今年は超売り手市場と言うこともあって大手志向が強まっているそうです。それに、VTR中の学生も話していましたが、親の意見もこうした傾向を後押ししているようです。何はともあれ、これからの人生の半分近くを過ごすであろう会社ですから、悔いのない就職活動をして下さい。