榊原・嶌のグローバルナビ


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第359回 2007年11月24日 放送

原油、金、そして小麦や大豆などの価格が急騰。世界の商品市況がかつてない高値をつけています。新興経済国の台頭による需給構造の変化、或いは歴史的な不作、また、バイオ燃料ブームなどがその背景にはありますが、特にここ数ヶ月はサブプライム問題の影響を強く受けています。つまり、サブプライム問題が深刻化したことから証券化された金融商品全般に不信が広がり、金融資産から現物へという資金の流れが強まっているというのです。サブプライム関連の損失額がどこまで膨らむかがいまだに見通せない現在、非リスク資産、非アメリカ資産、そして現物への選好はしばらく続きそうです。

ただ、もう一つの見方として、今は商品市況の上昇要因となっているサブプライム問題ですが、一転して価格の下落要因にもなるといいます。藤山所長は「サブプライム問題は実体経済を傷つけている。アメリカ経済は減速する。そうすれば需要減に働く」と話します。つまり、景気の減速がはっきりすれば商品市況は下がる可能性があるのです。

また、来年1月から6月にかけて、低金利から高金利へというサブプライムローンの金利変更が山を迎えますが、藤山社長は「これをうまく乗り切って金融商品に信頼が戻ってくれば、投機資金は金融商品に戻ってくる」と見ています。そうした状況が判断できるようになるのは来年の3月くらいではないか、ということです。

国際商品市況の急騰の影響を受けて値上げの発表が相次いでいますが、それでも先物価格ほどには私達の回りの製品価格が値上がりしていないのには理由があります。それは旧社会主義国や新興経済国の生産力の高まりです。三菱商事・国際戦略研究所の調査によると、1990年には所謂資本主義圏のために製品を作っている人達は5億人いました。ところがそれが今は30億人。労働力は6倍にまで膨れあがりました。しかし、その間、GDPは1.7倍にしかなっていません。基礎賃金が低く抑えられる構造が世界にあって、それが原料価格の高騰を吸収して最終製品の値上げ幅を低くしているのです。

そして、気になるのはこれからの世界経済の動向です。藤山所長はこう話します。「ここにきてアメリカ経済がどの程度傷つくのか。それがどの程度各国に波及するのか。アメリカ経済は、2001年に世界GDPに32.1%を占めていたが、今は27%くらい。大分落ちてきている。アメリカが傷ついても昔ほどは世界は傷つかないという構造になってきている。日本もアメリカへの輸出依存は減っている。当面サブプライム問題が収束してくるということならば、来年の世界GDPの成長率は今年に比べて1%程度のマイナスで済むのではないか。しかし、一番怖いのはドル不安が定着して、通貨以外に現物という頼みがないと世界経済が回っていかないということが怖い。そうならないように願っている」。サブプライム問題を巡る金融市場の混乱が続いています。そして、その混乱が収まらずドルの信任が問われる事態へと発展したとき、赤信号が灯ります。

当面サブプライム問題が収束してくるということならば、来年の世界GDPの成長率は今年に比べて1%程度のマイナスで済むのではないか。しかし、一番怖いのはドル不安が定着して、通貨以外に現物という頼みがないと世界経済が回っていかないということが怖い。


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