榊原・嶌のグローバルナビ


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第356回 2007年11月3日 放送

ミリオンセラーが次々と生まれた90年代とはうって変わり、ここ数年音楽CDの売上は低迷する一方。CD市場規模はピーク時の6割にまで減少しています。しかし、この状況を音楽不況とは捉えず、新たなビジネスモデルを確立しようとする企業も出てきています。

今年8月、東京ミッドタウンにオープンしたライブレストラン「ビルボードライブ東京」は食事を楽しみながら音楽を聴ける大人の空間として連日大盛況。オープンから3ヶ月弱で3万人以上の来場者数を数えています。以前から都内では、ブルーノート東京やコットンクラブといった大人向けの贅沢なライブ空間が人気を集めていて、バラカンさんも「ファンの好みが広がっていろいろなジャンルのライブ音楽が聴けるようになった」と分析しています。

コンサート市場も成長しています。2006年の市場規模は1500億円を超えました。特に夏の風物詩ともなった野外ロックフェスティバルはその牽引車になっていて、10万人を超す動員力を持つイベントも生まれています。その一方で、間近で音楽を体感できる比較的規模の小さなコンサートも人気が高まっています。スペインのバグパイプ奏者、カルロス・ヌニェスのコンサートは800人の会場が歓喜の渦に包まれました。コンサートを主催した会社、プランクトンの川島社長は音楽業界の今後を「見せ方の工夫」と「聴く耳の育成」がカギだと言及。バラカンさんも「質の良いものを提供していけばおのずと観客は集まっていく」と話しています。また、プランクトンでは小中学生を対象に本物の音楽に触れるイベントなどを定期的に開催。「市場をつくっていきたい」とその先の世代に種をまいています。

販売不振のCDに代わるビジネスとして、音楽配信が広がっています。「好きな曲だけ安く手に入れることができる音楽ダウンロードは現代において理にかなっている」バラカンさんもこう話すように、若者を中心に利用者は増え続けていて、市場規模も535億円(06年)に達しています。また、多様化したジャンルの需要に応えるべく、バラカンさんは"インターネットラジオ"に取り組んでいます。通常のラジオ放送と違って、世界中どこでもいつでも聞けるのが特徴です。アメリカでは既に数え切れないほどのラジオ局が番組を提供しているとのことですが、日本ではこれから。アメリカと異なり日本では著作権の処理に手間暇がかかり、ネットラジオ普及の壁になっているようです。しかし、音楽ビジネスの新たな可能性を秘めたメディアであることは確かで、今後の展開に注目です。

音楽の楽しみ方が変わってきている。昔の音楽ビジネスは若者中心だったが、40、50代といった音楽と共に育ち、今も音楽が好きな大人が落ち着いて音楽を楽しむことが多くなった。

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