武田薬品の屋台骨を支えるのは医療用医薬品。その売上高1兆2500億円の7割を 海外市場が占めていますが、今後は、益々、その重要性が増すと言います。長谷川社長は、製薬業界は今、世界規模のサバイバルレースの中にあると強調しています。そして、そこで勝ち残るには停滞気味の日本市場よりも成長市場であるアメリカやEUでプレゼンスを高める必要があるからです。武田薬品では、2015年度までに売上高を2兆円にするという経営計画を掲げていて、その達成の鍵を握るのも海外市場です。
世界最大の製薬市場はアメリカです。武田薬品にとっても最大の市場ですが、そこでのシェアは2.7%。メガファーマと呼ばれる巨大製薬メーカーの後塵を拝しています。メガファーマは、その規模拡大のためにM&Aを繰り返してきました。しかし、武田薬品はM&Aによる拡大路線からは距離を置き、独自の成長戦略をとっています。その独自路線とは、「日本企業としての特性と強さを追及し、新薬や人材を強化」していくというもの。「日本発の世界的製薬企業」を目指しているのです。
しかし、大手製薬メーカーの前に立ちはだかる大問題があります。それは医薬品の“2010年問題”です。最大の市場であるアメリカで、2010年前後に、主力製品の特許が相次いで期限切れを迎えます。特許が切れれば、その後は、安価な後発医薬品、いわゆるジェネリック医薬品に市場を奪われる可能性が高いのです。武田薬品でも、年間1兆円以上を売り上げる主力4製品の特許が、2010年前後に期限切れとなります。勿論、研究所では次世代の主力製品の開発が着々と進んでいますが、新薬開発にはたいへんな困難を伴うのも事実です。最終的に新薬として世に出る確率は1万5000分の1と言われている程です。「2011年からの5年間に5つの大型新薬を投入する」との目標を掲げる武田薬品は、その研究開発を加速させています。
長谷川社長は、グローバルに展開していくためには企業としての“芯”が必要だとしています。武田薬品の場合は、経営哲学「タケダイズム」だといいます。「タケダイズム」とは、これを一言で表すときは「誠実」という言葉が使われ、具体的には、高い倫理観を持って、「公正」「正直」に取り組む姿勢と、「不屈」の精神を意味しています。グローバルな競争を強いられる今、武田薬品では、改めてその精神を掲げています。
今週のゲストは、武田薬品工業社長の長谷川閑史さんです。グローバル化し、巨大化する製薬業界にあって、日本発の世界的製薬企業を目指す、武田薬品の成長戦略について伺いました。
今回私が一番驚いたことは、タケダの医療用医薬品売上高の「7割」が海外!ということです。アメリカは55%。欧州は13%。日本は31%ということでした。こんなにも身近な存在でありながら、実は7割が海外市場ということは大変驚きましたし、なんだかうれしく感じました。EU市場は未開拓ということなので、今後注目ですね。
ところで、今、製薬メーカーは「2010年問題」に直面しているそうです。これは、主力製品のアメリカでの特許が2010年前後に相次いで期限切れを迎えるというものです。しかし、「2010年問題」もきっと武田薬品工業は乗り越えられるに違いありません。その訳は「タケダイズム」。誠実・公正・正直・不屈の精神が社員の皆さんに染み込んでいるからです。
武田薬品の今後の動向から目が離せません!