今年5月、三重県津市に本店を置く地方銀行「百五銀行」が、業界の常識を覆す銀行システムを稼働させました。基本ソフトにウィンドウズを採用した「オープンシステム」です。銀行業務は膨大な量のデータを扱い複雑な会計処理行うため、従来は大型のホストコンピューターと専用に開発されたソフトウェアを組み合わせた「メインフレーム」と呼ばれるシステムが常識でした。しかし、メインフレームは運用コストが高く、地方銀行には大きな負担となっていました。そこで、日本ユニシスは大型コンピュータの代わりにサーバーを使い、基本ソフトにウィンドウズを採用したシステムを提案。その結果、運用コストが3割削減でき、情報処理のスピードも従来比2〜3倍にアップした新システムの開発に成功したのです。この新システムの誕生により「百五銀行」では今まで出来なかった土日の入出金やATMの24時間稼働などが実現します。この「オープンシステム」は、今後、銀行だけでなく、医療や通信など様々な分野に拡がっていくといいます。
また、日本ユニシスが追求するソリューションビジネスは、地方の活性化にもその技術を役立てようと取り組んでいます。その最初のケースが福岡県飯塚市で始まったITで街を変えようという「e−zukaまちづくりバレープロジェクト」。地元のベンチャー企業や自治体、医療、学校などが立ち上げた計画に日本ユニシスのグループ会社「USOL九州」が参加しています。現在、検討が進んでいるのは医療分野のシステム作りで、救急患者が病院をたらし回しにされることなく病院に入れるような仕組みを作ろうとしています。USOL九州は、日本ユニシスのシステム開発会社の一つです。以前は1社で全国をカバーしていましたが、今年4月に組織を再編、持ち株会社であるUSOLホールディングスの下に7つの地域会社を設立しました。地域に根ざし、地域のニーズに応える組織にすることが分社化の狙いです。また、地域との密着度を高めることによって、地元の大学を出た優秀な人材が集まることにも期待をしています。
日本ユニシスは、働きやすい環境作りにも力を入れています。昨年9月から、子供が高校を卒業するまで最大2時間勤務時間を短く出来る制度がスタート。在宅勤務制度も試験的に始めています。これらの制度は籾井社長が積極的に進めた改革で、会社の育児支援を利用することは「社員の権利」であるとしています。会社と社員は対等な関係であり職場に遠慮することなく活用して欲しいという考えです。「少子化は日本が抱える課題だが、民間企業にも出来ることはたくさんある」と籾井社長は話しています。
ITによって経済活動に革新をもたらすのがソリューションビジネスですが、日本ユニシスは、ビジネスだけでなく地域や人にもソリューションを提供しています。
日本ユニシスの籾井勝人社長をゲストにお迎えしました。社長とは、以前、別の番組でご一緒させていただいたことがあります。私のことなどきっと覚えていらっしゃらないと思っていたのですが、さすが!籾井社長。私のことを覚えていてくださいました。その温かい人柄に感謝しました。
日本ユニシスはソリューションビジネスを展開する会社ですが、この日のお話しの中で最も素晴らしいなと感じたところは、育児支援制度です。
まず、勤務時間を短縮できる「育児時間制度」。これは、子供が高校を卒業するまで最大二時間、勤務時間を短くすることができるというものです。少年犯罪が増えている昨今、親子が共有する時間を持つことはとても大事だという考えから作られた制度で、特に育児の期間を高校生にまで広げたことが素晴らしいと思いました。また、自宅で仕事ができる「在宅勤務制度」は、勤務時間は午前9時から午後5時までと通常と変わりませんが、通勤時間がかかりません。その時間に家事をしたり、子供と触れあうことができるのです。
こういったことができるのは、信頼関係が成り立っていないと実現できないと思います。籾井社長の「人」を大切にする気持ちが伝わってきました。「コンピューターシステムを作りあげるためには技術力だけではだめ。一流のソリューションを作るには人。今後は人材育成に重点をおきたい」とお話しされた籾井社長の笑顔がとても印象的でした。