大和ハウス工業は昨年9月、25年振りに新工法の一戸建て住宅「xevo」(ジーヴォ)を発表しました。xevoは太陽光発電システムや、夏は涼しく冬は暖かく暮らせるという「外張り断熱通気外壁」が標準装備されているなど、従来にはなかった様々な付加価値があるのが特徴です。坪単価は51万6千円〜(xevo Eシリーズ)。収納の達人と言われる近藤典子さんとコラボレートした家を作るなど、建築技術だけでなく暮らしやすさの提案でもアピールしています。
大和ハウスといえばこのように住宅というイメージがありますが、一戸建て以外にも分譲マンションや賃貸マンションなども手がけています。またデベロッパー事業は1977年から始めていて、最近では、つくばエクスプレス沿線の守谷駅前大型ショッピングセンターの開発も手がけました。更に今年4月からは賃貸マンションを有効活用するためにマンスリーマンションの事業も開始。現在、東京と大阪の5ヶ所でサービスを行っていますが、中でも人気のスポットは地価が高騰している豊洲です。40m2ほどのワンルームにはダブルベッドや大型液晶テレビが備えられていて、家電が揃うキッチンにはなんとディスポーザーまで付いています。1ヶ月の家賃は26万8千円と少々高めですが9割以上が埋まっているそうです。こうした多角化が大和ハウスの経営戦略なのです。
更に、その多角化は住宅の枠を超えて様々な分野に及ぼうとしています。奈良にある総合技術研究所では現在、床下のサビや水漏れ、シロアリの点検などを行うための小型ロボットを開発中。つくば大学や千葉工業大学との産学連携です。また、筑波大学発のベンチャー企業「サイバーダイン」へも出資。高齢者をサポートするためのロボットスーツの開発に参画しています。慶應義塾大学とは蓄電能力の高い「リチウムイオン電池」の開発を進めていますが、これは太陽光発電と組み合わせることによって住宅の電力を賄う新たなシステムを作ろうというのが狙いです。
そもそも大和ハウスは、創業者の石橋氏が鉄パイプを使った「パイプハウス」や3時間で出来る勉強部屋「ミゼットハウス」を開発し、新たな市場を切り開いてきました。その石橋氏が生前に繰り返し語っていたのが「先の先を読んだ経営を!」という言葉です。目先ではなく何十年も先を読んで事業を広げていくという経営戦略が大和ハウスのDNAなのです。このDNAを引き継いだ樋口会長が、次にどんな戦略を打ち出してくるのか、注目が集まります。
大和ハウス工業は、住宅業界のトップ企業ですが、その分野は幅広く多岐に渡っています。今回は、大和ハウスの先の先を読む経営戦略についてお話を伺いました。
大和ハウス工業=住宅!とイメージされる方が多いかと思いますが、それだけではありません。住宅関連は6割ですが、商業施設も3割近くあるんです。リゾートホテルやスポーツ施設、ホームセンターの経営なども行っています。中でも驚いたのが、コンシェルジュ付き高級マンスリーマンションのサービス。コンシェルジュが宅配やクリーニングサービスなどもしてくれるのです。こうした多角化戦略が功を奏して、大和ハウス工業の2007年3月期の売上高は連結ベースで1兆6000億円を突破しました。住宅業界の売り上げランキングでは堂々の1位をマークしています。
産学連携で様々な研究開発にも取り組まれていました。中でも私のお気に入りは「ロボットスーツ HAL」です。このスーツを着れば百万馬力!!片手でらくらく重いものも持ち上げることができてしまうんです。高齢者のサポートなど病院や介護の現場での活躍が期待されています。「床下点検ロボット」も画期的です。狭い床下に人間が入るのはとても大変ですが、このロボットがあれば簡単に水漏れやシロアリの点検ができます。
そんな大和ハウス工業の未来が楽しみですが、樋口会長が掲げる21世紀のキーワードは「不可欠=ふかけつ」です。
ふ=「福祉」
か=「環境」
け=「健康」
つ=「通信」
この4つの不可欠を広げることが事業拡大のカギなんだそうです。
そして樋口会長には、会社を活性化する「かきくけこ」も教えて頂きました。
か=感動すること
き=興味をもつこと
く=工夫すること
け=健康管理
こ=恋をすること
一番最後の「恋をすること」とは、常にトキメク心を持て!ということなんだそうです。
樋口会長のユーモアのある人柄を表していると思いました。この「かきくけこ」、私も日々の生活で心がけたいと思いました。ところで、け=健康管理なんですが、樋口会長は毎朝15階の会長室まで階段を昇ってらっしゃるんだそうですよ。健康管理も徹底されてますね。