榊原・嶌のグローバルナビ


Big name

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第340回 2007年7月14日 放送

ファッション業界への登竜門としてその名を知られる専門学校があります。文化服装学院です。昨年11月、その文化服装学院で開催されたファッションショーが2万人以上の観客を集めました。その華やかなステージはプロ顔負けのレベルの高さでしたが、実は学園祭の一環として行われたイベントで、衣装はもちろん舞台演出も学生達の手作り。出演するモデルも現役の学生でした。

文化服装学院はこうした実践的で専門的な教育に特徴があり、そのOB・OGには世界的なビッグネームがずらりと並びます。コシノ・ヒロコ、コシノ・ジュンコ、高田賢三、山本耀司といった大御所から津森千里や丸山敬太など新進気鋭のデザイナーまで錚々たる顔ぶれです。

この文化服装学院をはじめとして、文化女子大学、文化外国語専門学校、そして文化ファッション大学院大学を運営しているのが学校法人・文化学園です。裁縫の基礎からデザイン、生産技術、経営まで業界のあらゆる側面をもカバーする総合的な授業を展開している世界でも珍しい存在。例えば、文化服装学院には4つのコースがあり、服作りの基礎からデザインまでを学ぶ「服飾専門課程」。生産技術を中心に学ぶ「ファッション工科専門課程」。流通、販売に関わる人材を育てる「ファッション流通専門課程」。そして、帽子やバッグなど小物作りを学ぶ「ファッション工芸専門課程」です。講座数は合わせて100以上に及び、その細分化されたカリキュラムは独自性に溢れています。

また、文化学園が昨年4月に開校した専門職大学院・文化ファッション大学院大学も注目の存在です。デザインを中心に学ぶクリエイション専攻と経営のノウハウを学ぶマネジメント専攻に分かれていますが、どちらのコースも起業家、或いは経営レベルの人材を養成することに主眼が置かれていて、ファッション業界のMBAとも言えるファッションマネジメント修士を取得できるコースもあります。更に特徴的なのはこの大学院に在籍する学生の3分の1を留学生が占めていること。ファッションの世界に於ける日本のポジションは、日本人が考える以上に高いようです。

「日本のファッションは世界から認められているほどレベルが高いのに、日本人自身がその良さを理解していない、もっと自国の良さや着物文化を理解し世界にアピールしていかなければならない」

私が子供の頃、人とは違うファッションが好きな母は、「赤のバリエーションが少ない」「野暮ったい」とよくぼやいていました。なかなかお眼鏡にかなった服が見つからなかったのです。確かに昔の映像を見ると、皆が同じような格好をしていました。今では自分のセンスで素敵に着飾っている人を多く見かけます。特にアジアやアメリカなど海外に行くと、日本人はおしゃれだねって感じませんか。日本のファッション誌がアジアで普及してきたからでしょうか、お決まりのように真っ赤な口紅を塗っていた女性もすっかりアジアから姿を消しています。

日本のファッションが、何故、こんなにアジアの女性の心を惹き付けるのでしょう。文化学園の理事長の大沼さんも「日本人のファッション感度はピカイチ」と高く評価しています。それは日本の着物文化を見ても分かります。一つの反物の布を全く無駄にせずに、着物が出来てしまう。柄物の着物に柄物の帯、季節感もあれば、格もある。

実は私も一年ほど前に着付けを習い「よし着物を買うぞ!」と呉服店に行きました。ところが、洋服を買う時とは違って、上品さと下品さが紙一重な着物ファッションに混乱し、何も買えないままに帰ってきました。着物選びは本当に難しいと実感。昔の人はこれをいとも簡単に組み合わせていたのですから、相当なおしゃれ感度を持っていたはずです。そんな日本人のファッションセンスが海外では高く評価され、文化学園にも海外からたくさんの留学生が集まってきているのでしょうね。

しかし、悲しいことに、そんな日本人の凄い所に気付いていないのが日本人。おしゃれな街・表参道を見渡しても外国ブランドばかりが軒を連ねています。もっと日本の良さに気付きましょう!

ところで、文化学園への入学希望者はたいへん多く、最近では医学部を卒業してから入学した人や、大手商社を辞めて入学してくる人もいるそうです。おしゃれな世界で活躍する日本人は確実に増えそうですね。

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